2014 Fiscal Year Research-status Report
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24510133
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中島 健次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | J-PARC / 中性子散乱 / チョッパー型分光器 / ディスクチョッパー / 装置開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、J-PARC等国内外に近年出現した強力なパルス中性子源とやはり近年大きな進歩のあった複数の入射中性子エネルギーを利用して高効率で広い帯域の測定を行う手法を手がかりに、これまで主としてエネルギー相関しか得られなかった中性子非弾性散乱実験法を大きく改良した直接時間相関を得る新しい測定手法と関連する機器の技術開発を行うものである。特にその中心は、取り出せる中性子エネルギーの数を増すことで測定効率を上げる多孔スリット型の高速ディスクチョッパーを用いた測定手法についての研究である。当初において研究の基幹は、多孔スリットの物理的な成立可能性を検討(ディスクの実施設計と強度計算を中心)し、その後、このディスクを試作し、実際の中性子分光器で実証試験を実施して計算機シミュレーションと合わせて新しい測定手法の可能性を研究することであった。しかしながら、国内で唯一高速ディスクチョッパーを製造することのできるメーカーの社内方針の問題(十分な歩留まりが見込めないことによる採算性)で試験用ディスクの製作に困難が生じ、研究の方針は、実証試験の可能性を残しつつ、計算機シミュレーション中心のものへと変更した。それに伴い、研究計画も一年延伸することとした。平成26年度は、このために大きな進捗はなかったが、計算と通常のチョッパーを装備した実際の分光器での測定運用を検討したシミュレーションの他、メーカー自身の採算性を考慮した新しい設計方針によるディスク試作もメーカーに行わせることが出来、試験用ディスク製作につながる可能性も得られ始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度から開始する予定であった2スリットディスクの製作であるが国内で唯一製造可能なメーカーが社内の方針で受注が難しい状況となり、研究計画は遅延している。そのため、研究内容を計算主体のものに変更すると共に、研究計画を一年延伸した。一方で、粘り強く続けているメーカーの交渉の結果、メーカー側の難色を示す主な問題である歩留まりの悪さによる採算性の悪さを解決する新しい設計方針でのディスクの試作にまでこぎ着けており、試作ディスクを使った実証試験の可能性は残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
試験ディスク製作が不透明なため、計算機シミュレーションを主たる研究手段に切り替えて、研究を進めている。本年平成27年度は、試験ディスクを使った高効率測定法の実証試験(可能なら)と、そして、主には研究の最終年度として成果とりまとめを実施内容とする。1. これまでの検討を計算機シミュレーションで検証する。2. 可能な場合は、試験ディスクを用いたJ-PARCでの実際の中性子分光器での実証試験を年内に実施する。3. とりまとめた成果について、内容を深めるため、国内外の研究者との議論を行う。以上を持って、最終年度の研究推進の方向とする。
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Causes of Carryover |
本研究の計画の一部となっているJ-PARCにおける実際の中性子分光器を用いた実証実験について、これに用いる試験用ディスクの製作を行うことが出来る国内唯一の業者が社内の事情により、ディスク製作に難色を示している。研究開始2年目より発生した状況であり、現在は実証試験を行わない形での研究遂行の方針を基本に据えているが、それでも、ディスク製作の可能性をぎりぎりまで探るため業者との交渉を続けている。実証試験は、計算等で代替可能であるが、本研究の目指す高効率測定の効果についてもっとも直接的、かつ強力な検証手段であるので、この交渉妥結の可能性をぎりぎりまで目指し、本研究の当初の最終年度であった平成26年度に実施する研究とりまとめとそれにかかる国内外の研究者との議論のための国際会議への参加費用等を平成27年の実施計画として繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年平成27年度は、試験ディスクを使った高効率測定法の実証試験(可能なら)と、そして、主には研究の最終年度として成果とりまとめを実施内容とする。1. これまでの検討を計算機シミュレーションで検証する。2. 可能な場合は、試験ディスクを用いたJ-PARCでの実際の中性子分光器での実証試験を年内に実施する。3. とりまとめた成果について、内容を深めるため、国内外の研究者との議論を行う。そのために、国内外の会議への参加、海外の中性子実験施設への来訪を行う。今年度の予算は、主として、「3」実施のための旅費とし、少額を試験、計算等にかかる消耗品類の購入に充てる。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Recent status of a cold neutron disk chopper spectrometer AMATERAS2014
Author(s)
Kenji Nakajima, Seiko Ohira-Kawamura, Tatsuya Kikuchi, Yukinobu Kawakita, Yasuhiro Inamura, Ryoichi Kajimoto, Mitsutaka Nakamura, Kazuhiko Soyama, Masahide Harada, Kenichi Oikawa, Shinichi Takata, Hiromichi. Tanaka, Takaaki Iwahashi, Wataru Kambara, Yasuhiro Yamauchi, Kazuhiro Aoyama, and Masatoshi Arai
Organizer
ICANS-XXI
Place of Presentation
水戸文化センター(茨城県水戸市)
Year and Date
2014-09-29 – 2014-10-03
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[Presentation] Beam transport of a cold neutron disk-chopper spectrometer AMATERAS2014
Author(s)
Kenji Nakajima, Seiko Ohira-Kawamura, Tatsuya Kikuchi, Ryoichi Kajimoto, Kazuhiko Soyama, Toyotaka Osakabe, Takaaki Iwahashi, Kazuhiro Aoyama, Fujio Maekawa, Kenichi Oikawa, Masahide Harada
Organizer
QENS 2014 / WINS 2014
Place of Presentation
Autrans, France
Year and Date
2014-05-11 – 2014-05-16