2012 Fiscal Year Research-status Report
シンチレーションファイバによるビームロス陽子測定の研究
Project/Area Number |
24510134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐甲 博之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ビームロス |
Research Abstract |
本ファイバーシンチ飛跡検出器は立体角が小さいため、ビーム陽子測定空間分布測定のためには上流、下流の検出器相対位置を頻繁に動かす必要がある。しかし、J-PARCリニアックは常時ユーザ運転を継続しているため、トンネルへのアクセスする機会は一か月に一度程度しかなく、手動で位置変更する回数が非常に限定されていた。さらに手動による位置変更では、位置精度、再現性の問題があった。これらの問題を解決するため、ステッピングモータにより上流、下流の検出器をそれぞれビームダクトに関して水平、鉛直方向に精密に位置設定できる架台を製作し平成24年9月に導入した。これによりトンネルにアクセスすることなく地上から遠隔で位置精度1mmで検出器位置を変更可能になり飛躍的に測定効率が向上した。さらにトリガーカウンターを導入して、トリガー数を自動計測できるようになったため、ビーム電流と陽子飛跡数の関係づけを行うことができるようになりビームロス絶対量計測の準備ができた。 夏の加速器シャットダウン後、10月からビームが再開した。平成24年10月にファイバーシンチレーション検出器2面を製作し、既存の6面を含めて全8面でビームロス起因の陽子の水平、鉛直方向飛跡を同時に測定することに成功した。 上記架台を使用して、ビーム軸に関する上流検出器水平位置0-400mm、下流検出器水平位置0-600mmにて系統的に測定を行った。 現在これらのデータの解析中である。陽子の信号は得られているが、平成23年度に行った測定に比べて、陽子飛跡の信号/ノイズ比が小さくクリアな信号が得られていない。現在この原因を調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成23年度と同様のクリアな陽子信号が得られ、陽子の空間分布がすでに得られる予定であった。しかし信号/ノイズ比が小さいことが判明し、現在その調査を行っているところである。考えられる原因としてはリニアックのピークビーム電流が15mAから20mAに増加し、ビームロスが増加しバックグラウンドが増えたこと、上流と下流の検出器距離を平成23年度の1.1mから1.6mへと長くしたためバックグラウンドが増えたこと等が考えられる。できるだけ早急にこの問題を解決することが課題である。 一方、検出器位置変更架台、トリガーカウンターの導入によって、計測効率が飛躍的に向上し、陽子絶対数の計測準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に判明したバックグラウンドの抑制の原因究明を行う。トリガータイミングの最適化、一回のトリガーで複数の粒子のタイミングが測定できる時間測定器の導入(平成24年度に購入済「ファイバー検出器用時間測定器」)を行い、バックグラウンドの抑制を図る。 同時に、陽子の測定実験は平成25年度7月まで継続する。平成25年8月以降は検出器設置場所に400MeV加速器空洞が設置されるため、検出器を撤去しなければならない。この測定では特にマクロパルス内の依存性を測定し、ビームロスの全容を解明する。 実験終了後は、データ解析、粒子シミュレーションを進める。検出効率を評価し、最終的に陽子絶対量を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は日本加速器学会年会等での成果発表の旅費として主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)