2012 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化によるナノ微粒子の3次元集積体の構築とその光電変換素子への応用
Project/Area Number |
24510137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 真弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50357836)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / 構造・機能制御 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
金ナノ微粒子表面に導入するベータ-シートペプチドは、ベータ-シート構造を形成する親水性・疎水性アミノ酸の交互シーケンスを有し、且つ、酸性及び塩基性側鎖を併せ持つロイシン(Leu)-リジン(Lys)-ロイシン(Leu)-グルタミン酸(Glu)の繰り返しよりなり、そのN末端に金との結合点として機能するリポ酸を配した、S-(Leu-Lys-Leu-Glu)4を固相法により合成する。得られるS-(Leu-Lys-Leu-Glu)4と、表面ペプチド鎖の密度制御のためのスペーサとして機能する、2-メルカプトエタノール(HO-(CH2)2-SH)を種々のモル比で含む水溶液中で、金イオンを還元することにより、目的の、種々の表面密度を有するベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子を得る。得られるベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子コアの金ナノ粒子の平均粒径はTEM観察より求める。また、ベータ-シートペプチドの被覆率(1粒子あたりの導入量)は、熱重量分析及び元素分析により求める。 上記課題で得られるベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子分散液中に基板を浸漬し、同ナノ微粒子を自己組織化的に基板表面に吸着・固定化させる。この吸着・固定化過程は、初期に基板表面に吸着したベータ-シートペプチドが核となり自己組織化的に大きな集合体に成長することを既に見出している。本研究では、欠陥の少ない3次元集積体の構築を一つの目的としているために、系統的にベータ-シートペプチドの表面被覆率を変化させた金ナノ微粒子を用い、その基板への吸着・固定化過程の動力学及び、その飽和結合量と表面ペプチド被覆率との関係を詳細に検討する。この測定には、要求備品である、水晶発信子形吸着量測定装置を用いて行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成したS-(Leu-Lys-Leu-Glu)4と、その表面密度制御のためのスペーサとして用いた2-メルカプトエタノール(HO-(CH2)2-SH)を種々のモル比で含む水溶液中で、金イオンを還元することにより、種々の表面密度を有するベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子を得た。しかしながら、その分散安定性が低く、3次元構造体形成のための分散媒の最適化が必要となった。また、25年度に予定していた、錯体を有するペプチドの分子設計合成を行い、そのペプチド集合体を介する電子伝達特性に関し検討を行い、ペプチド集合体が、有効な電子伝達経路として機能することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究で得られる知見を基に、基板表面に構築したベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子集積体中の表面ペプチド鎖の2次構造を、円偏光二色性分散計及び高感度赤外分光光度計を用い評価する。表面ペプチドがベータ-シート構造を形成する条件下では、個々のナノ微粒子は集積体中で孤立化状態で存在するとの知見を得ているので、本課題と平成24年度の計画で得られる知見を併せて、最適なナノ微粒子集積体の調製条件( 表面ペプチド鎖の密度、ナノ微粒子分散液の溶媒組成・pH等)を最適化する。また、これまでの計画で得られる最適なベータ-シートペプチド被覆金ナノ微粒子集積体の3次元構造を、3次元透過型電子顕微鏡を用い、集積体中での各ナノ微粒子の空間配置を直接観察する。加えて、同集積体のプラズモン吸収の波長より、集積体中の金ナノ粒子間の相互材用を評価する。金ナノ微粒子のプラズモン吸収波長は、ナノ微粒子が凝集状態では長波長に、分散(孤立化)状態では低波長に認められるので、その吸収波長とナノ微粒子の空間配置との相関を詳細に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度では、研究費の大半を試薬(ペプチド合成試薬等)ガラス器具の購入と、学会等での成果発表のための旅費に当てる予定である。また、装置の修理費や、各種基板(QCM基板:H24購入の水晶発振子型吸着量測定装置用、フッ化カルシュウム結晶基板:CD、FTIR測定用、TEMグリッド)の購入に使用する。
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Research Products
(3 results)