2013 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化によるナノ微粒子の3次元集積体の構築とその光電変換素子への応用
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24510137
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 真弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50357836)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / 構造・機能制御 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
昨年度合成したS-(Leu-Lys-Leu-Glu)4Pheと、2-メルカプトエタノール存在下で金イオンを還元し、透析により精製した金ナノ微粒子分散液を直接用い、基板表面に吸着させることで、ナノ微粒子集積体の構築を行った。得られた金ナノ微粒子の直径は3.6nmで、表面のS-(Leu-Lys-Leu-Glu)4Pheと、2-メルカプトエタノールのモル比は、1:5.5であった。単純に基板表面にキャストして構築した場合に比べ、表面ペプチドはベータ-シート構造を取り(91%、キャストの場合57%)そのプラズモン吸収ピークは、462nmと大きくブルーシフトした(キャストの場合620nm)。このことは、吸着により、基板表面で、個々の粒子が、分散固定化していることを示しており、TEM観察からも、その分散状態を確認した。得られた、ナノ微粒子集積体の電気化学特性をSTSを用いて評価したところ、200mV以下の印加電圧では電流応答が見られない、トランジスター的特性が認められたのに対し、キャストにより構築した物では、単純な線形的な電流-電圧応答が見られた。また、光電変換機能の発現を目的に、ルテニュウム錯体を導入したペプチド被覆金ナノ微粒子を調製するとともに、犠牲試薬であるヨウ素を集積体表面に形成するシリカ層に包埋することを目的に、ペプチドをテンプレートとするシリカのミネラリゼーションに関し検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、得られたペプチド被覆金ナノ微粒子の分散安定性が低い原因として、透析により精製したナノ微粒子を凍結乾燥したためと考え、精製した分散液をそのまま用い、基板に吸着することで、個々の微粒子が孤立化状態で集積した集合体を得られることを明らかとし、特異な電流電圧特性を有する集積体の構築に成功した。また、平成26年度では、ルテニュウム錯体を導入ペプチドで被覆した金ナノ微粒子の集積体を用いた、光電変換能の発現を予定しており、そのための、金ナノ微粒子の調製を行った。また、色素増感太陽電池の電極材料への応用を念頭に、集積体表面に、犠牲試薬であるヨウ素を包埋した、シリカ層の形成のために、ペプチドをテンプレートとした、シリカのミネラリゼーションに関して検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見をもとに、ルテニュウム錯体を有するペプチドで被覆された金ナノ微粒子集積体の構築を行う。得られる集積体の微細構造をTEMおよび、STMにより観察を行い、電気化学特性、特に光電変換能に関し、STSにより、その微細構造と機能との相関を同時測定することにより、詳細に検討する。得られる知見をもとに、ITO電極等透明電極上に、上記、ルテニュウム錯体を有するペプチド被覆金ナノ微粒子の3次元集積体を構築し、さらに、その表面で、表面ペプチドをテンプレートとするシリカのミネラリゼーションを、ヨウ素存在下で行い、犠牲試薬であるヨウ素を、集積体表面に固定化する。得られた、複合化ナノ微粒子集積体の光電変換能を詳細に検討し、色素太陽電池の電極材料としての有効性を評価する。
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