2012 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリンナノポア内での多核金属反応場の構築とその内部空間における触媒反応
Project/Area Number |
24510140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐竹 彰治 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00277831)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポルフィリン / ナノリング / ホストゲスト / ビピリジン / ホモカップリング / 触媒 / 錯体 |
Research Abstract |
本研究では3つの金属ポルフィリンと3つの2,2'-ビピリジンが交互に連結することによって形成されるユニークなポルフィリンナノリングを合成し、その内部に金属錯体を導入することによって特異的な機能開拓を行うことを目的にしている。 本年度は、2種類のビス(クロロピリジニル)基を有するポルフィリン誘導体をNi(cod)2存在下、還元的カップリングさせることにより、鎖状ポルフィリンオリゴマーと環状ポルフィリン3量体、4量体等の混合物を得た。次にこの混合物のサイズ排除クロマトグラフィーによる分離精製を検討したところ、環状三量体を85%以上の純度で単離することに成功した。化合物の同定はプロトンNMR法(1H NMR)と高分解能マトリックス支援レーザー脱離イオン化―飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)によって行った。1H NMRでは1種類のポルフィリン単位の存在だけを示す単純なスペクトルが得られ、本分子が対称性の高い分子構造をとっていることが示された。また高分解能MALDI-TOF MSでは、環状三量体を示すモノアイソトピック信号(m/z obs. 2089.4548, calcd for C114H84N18O12Zn3+H+: 2089.4463)が観測された。置換基にエチル基を有する環状三量体は環の外周部に6つのエステル基を有しており、これをアルカリ加水分解することによって6つのカルボン酸基を有するポルフィリン環状三量体を合成することに成功した。この化合物はpH7のリン酸緩衝液やpH11の炭酸緩衝液によく溶けるため、有機溶媒中だけでなく、水中での特異的な性質にも興味が持たれる。本成果は日本化学会第93回春季年会(滋賀)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的では2種類のポルフィリンナノポアの構築を提案しており、本年度はそのうちの1つであるポルフィリンが3つからなるナノポア1の合成および精製に成功したから。ポルフィリン9枚からなる環状ポルフィリンについても、その前駆体となるポルフィリンモノマー部分の構築に成功しており、おおむね順調に進展しているといえる。また、加水分解後に得られるヘキサカルボン酸ナノポアが水に溶解することを確認でき、水中での触媒反応に適用可能であることが分かったから。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノポア1については合成方法と精製方法を改良し、100mg超での合成を目指す。次に合成したナノポアの内部空間に金属錯体を導入する方法を開発する。合成した錯体の構造評価を行い、酸化還元挙動、分光学的な性質を調べたのち、触媒機能の検討を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算残高\27,810-については次年度の物品費と合わせて執行する。
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Research Products
(7 results)