2013 Fiscal Year Research-status Report
力学的・化学的作用によるイオン結晶表面ナノ・ミクロ構造の変化
Project/Area Number |
24510144
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
新藤 斎 中央大学, 理工学部, 教授 (90245986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二木 かおり 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (10548100)
伊村 くらら 中央大学, 理工学部, 助教 (60707107)
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Keywords | 摩擦・摩耗 / 結晶力学 / 塑性変形 / MgO / 結晶のモルフォロジー / 原子間力顕微鏡 / TiO2 / キラルな結晶面 |
Research Abstract |
実施計画の課題①【結晶の力学物性と表面構造の関わり】については、前年度調べた立方晶のMgOにつき、(001)面に加えて(110)面、(111)面での摩擦・摩耗の実験を行った。(110)面では引掻き針の走査方向による異方性が明瞭に見られた。低加重では原子配列の異方性が摩擦の強弱を決めている。(111)面については高荷重で摩擦の異方性が見られたが、これは塑性変形の違いによる。立方晶でも滑り系の異なるZnS(001)面についても予備的な測定を行った。 結晶軸が直交しているが格子定数の異なる斜方晶の例としてBaSO4結晶の(001)劈開面での摩擦・摩耗実験を行った。3方向の格子定数の違いを反映して、{210}劈開、{110}滑り、{011}滑りなどの塑性変形が荷重に依存して起こり、摩擦係数もそれにしたがって変化した。変形の起こるメカニズムについて解析している。 課題②【液相環境中での結晶表面構造の安定性の比較】では、TiO2の結晶であるアナターゼおよびルチルについて固体フラックス中での溶解実験を行った。SO3を生じて酸化的環境を作るKHSO4およびNH3も発生してやや還元的環境を作るNH4SO4を溶剤として用い、結果を比較した。表面の水素化が特定面を安定化することがわかった。表面の安定性をTi原子の配位数により説明できた。 光学不斉を持つ結晶表面が不斉の増殖を行うメカニズムをいくつかのケースで調べ、必要条件を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶系、滑り系などの異なるいくつかの結晶のさまざまな結晶面について同一実験法による比較を行うことができ、摩擦・摩耗のパターンの違いが生ずる理由を明らかにすることができた。 難溶性のTiO2結晶についてもフラックスの選択などにより異なる融液環境を作ることができ、結晶面の安定性を溶解により比較する方法の適用範囲を広げることができた。 キラルな結晶面と不斉増殖反応の関係は重要な課題であるが、物理化学的なメカニズムを具体的に提案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる複数の滑り系が関与する系については観察される変形パターンが複雑である。このような場合はさまざまな方位の結晶面で結果を比較することが望ましいので、結晶を自分で任意方向に切断・研磨して試料を作成する必要がある。結果の検討を十分に行ったものから学術誌に論文として発表する。 界面活性剤と結晶面の関わりについてはまだ予備的な検討を行っている段階であるが、原子平坦な結晶基板と吸着質の官能基の組み合わせにいくつかの候補が絞られてきたので、次年度は本格的に実験を開始する。
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Research Products
(11 results)