2012 Fiscal Year Research-status Report
揺らぎ分光法による量子ドット・スピン緩和機構の解明
Project/Area Number |
24510145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
黒田 隆 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (00272659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子ドット |
Research Abstract |
単一の量子ドットからの発光信号は、内在するキャリア・スピンの向きに応じて異なる偏光をもつ。そのため、量子ドットから発する光子束に対し、偏光度の時間揺らぎを計測することで、スピン状態の緩和過程が観測できるはずである。本研究では、このようなアイデアに基づく「スピン揺らぎ分光法」を開発し、従来の手法では観測できなかった、ナノ秒からマイクロ秒に至る広い時間領域において、スピン緩和過程の観測を行う。キャリア・スピンと核スピンおよび閉じ込めポテンシャルとの関係を定量的に調べ、室温で動作するスピン・デバイスの実現のための基礎指針を提案する。平成24年度においては、偏光光子相関系の構築として、量子ドットから発する単一光子に対して、偏光の相関関数を計測するための光学実験系を構築した。具体的には、既存の顕微分光装置にポラリメーターを組み込み、右周り-右周り、右周り-左周 り、左周り-右周り、左周り-左周りの偏光光子対に対して、コインシデンス計測を行い、時間相関関数を比較する。偏光揺らぎの時間スケールはマイクロ秒程度と予想される。そのため、従来コインシデンス測定に用いられてきた、アナログ的な計測装置 (Time-to-Amplitude Converter) は適用できない。ここでは光子の到着時間 を時系列で全て記録し、その後に相関関数を計算するデジタル処理手法を用いた。また3つの光子検出器を併用して、ルーター的な同時処理を行い、精度の高い相関関数を観測した。構築した偏光光子相関観測装置を用いて、量子ドットカスケードを用いた偏光もつれあい光子対発生の検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高い検出感度を持つ偏光光子相関系の構築がほぼ完了。今後のスピン揺らぎ計測への展開は容易であると推測できるため。また、対称性に優れた量子ドット試料の作製に成功し、今後の実験の促進が予想できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、荷電制御型量子ドットを試料の実現に注力し、電流注入型・偏光もつれあい光子源の実現を目指すことにより、本提案のスピン揺らぎ計測を、より、応用展開に近い環境で実施したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)