2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川畑 史郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (30356852)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジョセフソン接合 / 同期現象 / 多ギャップ超伝導 / テラヘルツ発振 / 熱輸送 / 固有ジョセフソン接合 / 鉄系超伝導 / 巨視的量子トンネル効果 |
Research Abstract |
本研究においては、超伝導体ジョセフソン接合において創発する同期現象及び巨視的量子現象に関して理論的に研究を行う。本年度は、高温超伝導体固有ジョセフソン接合における同期現象及びテラヘルツ波発振に関して理論及び数値的に研究を行った。ジョセフソン接合の位相差ダイナミクスを記述する運動方程式、熱伝導方程式、マクスウェル方程式を連立させることにより固有接合から発生するテラヘルツ電磁波の計算を行った。その結果、温度分布に非一様性が自然に現れることを明らかにした。さらに温度分布が非一様な場合、分布が一様な場合に比べて桁違いに強いテラヘルツ電磁波が発生することを示した。また、現在人工的に局所加熱をすることによって、テラヘルツ波の強度を制御する方法について検討を行なっている。またジョセフソン接合の協力量子ダイナミクス理論を構築することを目指して多バンド超伝導ジョセフソン接合における巨視的量子トンネル効果に理論構築を行った。その結果、バンド間位相差トンネル結合の存在により極めて多彩な量子トンネル現象が発現することを明らかにした。具体的には、多バンド接合においては多次元空間のトンネルパスが出現し、巨視的量子トンネル率が通常の単一接合の場合に比べて大きく減少することを見出した。それに対し熱的な脱出率はほとんど変更を受けないことが明らかとなった。そのため、巨視的量子トンネル現象を観測することによりバンド間位相差トンネル結合の存在をが検証可能になることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はジョセフソン接合列の同期現象及びテラヘルツ発振に関して計画通りの成果を得ることができた。また、巨視的量子現象に関しても順調に成果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は非一様温度分布に出現によってテララヘルツ発振の強度が著しく増大することを見出したが、今後温度分布を人工的に制御する方法について考えていく。また、テラヘルツ波の偏光制御の方法についても考え、固有ジョセフソン接合の新たな応用可能性を見出す。また量子同期現象の基礎理論構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数値計算高速化のために計算サーバーの増築を行う。また、国際会議等に参加をし、成果発表を行う。
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