2013 Fiscal Year Research-status Report
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24510146
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川畑 史郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (30356852)
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Keywords | ジョセフソン接合 / 同期現象 / テラヘルツ発振 / 多バンド超伝導 / 鉄系超伝導 / 固有ジョセフソン接合 / 巨視的量子トンネル現象 / 熱伝導 |
Research Abstract |
本研究においては、微小超伝導体ジョセフソン接合において創発する同期現象及び巨視的量子現象に関して理論的に研究を行う。昨年度までの研究成果を発展させて、本年度は高温超伝導体固有ジョセフソン接合における古典的テラヘルツ波発振に関して理大規模数値シミュレーションを行った。そして、人工的に局所加熱をすることによりテラヘルツ波発振の強度が著しく増大することを見出した。これにより実用的なmWオーダーの固体テラヘルツ発振器が可能となることが明らかとなった。以上の成果についてはAppl. Phye. Lett.誌に論文を発表した。またこの成果は同誌のFeatured article及び表紙に採択された。また多バンド超伝導体から構成されるジョセフソン接合における協力量子トンネル現象の理論についても研究を行った。虚時間汎関数積分の手法を用いて二バンド超伝導体単一バンド超伝導体ジョセフソン接合の巨視的量子トンネル率の計算を行った。その結果、バンド位相差モード(Leggettモード)の存在により、ポテンシャル障壁を下げてトンネルが促進される効果と摩擦によってトンネルが抑制される2つの効果が同時に発生することが明らかとなった。どちらの効果が支配的になるのかについて数値シミュレーションを行った結果、常にトンネルを促進する効果のほうが優勢になり、Leggettモードの存在により巨視的量子トンネル率は増大することが明らかとなった。以上の成果については現在論文を執筆注である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はジョセフソン接合列のびテラヘルツ発振に関して計画通りの成果を得ることができた。実際Appl. Phys. Lett.誌に成果が掲載されFeatured article及び表紙にも採用された。また、巨視的量子現象に関しても順調に成果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は人工的に非一様温度分布を与えることによってテララヘルツ発振の強度が著しく増大することを見出したが、今後温度分布を人工的に制御することでテラヘルツ波の偏光を制御する方法について考察する。また量子同期現象の基礎理論構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大規模テラヘルツ発振数値シミュレーションに関するプログラム作成が遅れており、大規模シミュレーション用サーバの購入をH26年度に延長したため。なお、プログラムは今年度初めに完成予定です。 大規模シミュレーション用サーバの購入及び海外の共同研究先への滞在費に使用する予定。
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