2014 Fiscal Year Research-status Report
As-Grown架橋型カーボンナノリボンの開発と構造・物性の解明
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24510153
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横井 裕之 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50358305)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 架橋型カーボンナノリボン / 液面下CVD法 / 新物質 / カーボンナノポット / ナノ容器 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、As-grown架橋型カーボンナノリボンの生成には高い温度勾配が有効であることがわかり、昨年度に改良した合成基板鉛直配置型液面下CVD装置を用いてナノリボンの合成を行った。しかしながら、期待したほど純度と収量が向上しなかった。そこで、反応容器内のガス流を数値解析で調査したところ、原料ガスの流路が限定的になっていることがわかった。そのため、原料ガス濃度が不均一かつ不十分となっていると考えられる。反応容器に供給するアルゴンガスの注入口の配置を変更することにより、原料ガスが合成基板全体に行き渡るよう合成装置をさらに改良する必要がある。 昨年度にナノリボンの合成条件探索過程で見出した新規ナノカーボン物質については、既存のナノ物質に見られない複雑な壺型構造をしていることが明らかとなった。高解像の透過電子顕微鏡観察により典型的なサイズは、外径が20~40nm、内径が5~30nm、長さが100~200nmであり、中空空間のアスペクト比が10~20程度に及んで既存の容器型ナノ物質のアスペクト比を大きく上回ることがわかった。また、ナノポットはファイバー状に連結して生成し、そのファイバー長が100μm以上になるものが見出された。我々はこの物質に十分な新規性があり、高い有用性も期待されると考えて、カーボンナノポットと名づけ、特許出願を行った。9月に東京ビッグサイトで開催されたJST主催のイノベーション・ジャパン2014にも採択されて、さまざまな業種の企業等に本研究成果をアピールした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、合成基板鉛直配置型液面下CVD装置の改良を終えて、As-grown架橋型カーボンナノリボンの高純度・高効率に合成し、その電気特性を調査する計画であった。しかしながら、特性評価を行えるほど純度と収率が向上しなかったため、計画を変更して反応容器内のガス流の数値解析を行った。その結果、原料ガスの流路が限定的になっていることがわかり、合成装置をさらに改良する必要が生じて、年度内に合成条件の最適化まで至らなかった。 昨年度にナノリボンの合成条件探索過程で見出したナノカーボン物質については、研究実施計画にないものの、先進性が非常に高くて早急に進展させるべき成果であるため、本研究と並行して研究に取り組んで、特異な構造を持つ新規性と有用性が高い物質であることを明らかにし、特許出願も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
合成基板鉛直配置型合成装置において、原料ガスが合成基板全体に十分な濃度で供給されるように、アルゴンガス注入口の配置を最適化する。従来同時に生成していたカーボンナノウォールの影響を受けない程度にカーボンナノリボンの純度が向上した時点で電子線描画によりナノリボンに電極をつけて単一ナノリボンの電気伝導特性を計測する。さらに、ガス雰囲気制御チャンバーを用いて、ガスセンサーとしてのデバイス特性を調査する。
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Causes of Carryover |
本年度にカーボンナノリボンの収率を高める合成条件を特定して合成装置の構造を最適化する予定であったが、期待したほど収率が向上しなかった。そこで計画を変更して反応容器内のガス流を数値解析することにしたため、装置改良に関する経費と合成原料費等が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反応容器内ガス流の数値解析の結果、原料ガスの流路が限定的になっていることがわかったため、その点を改善した合成装置の改造費用と合成原材料費に充てる。
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Research Products
(10 results)