2013 Fiscal Year Research-status Report
情報欠落に影響されない新たな非線形離散濃度諧調再構成法の実用化
Project/Area Number |
24510156
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
馬場 則男 工学院大学, 情報工学部, 教授 (80164896)
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Keywords | 電子線トモグラフィ / 電子顕微鏡 / 逆問題 / 画像再構成 / 情報欠落問題 |
Research Abstract |
本研究では、電子線トモグラフィ(CT) で必ず発生する情報欠落問題を解決することが最終目的である。この問題は、電子線CTでは全方位に試料傾斜できないことに起因する(±60°~70°に制限)。これを解決するために、全く新たな再構成法として、本研究題目の「非線形離散濃度階調再構成法」を提案している。昨年度の報告で述べたように、実用化を急ぐ観点から、応用実験に進み、複合ナノ粒子(TiN-Ag試料)の再構成で成果が得られた。しかし、様々な試料に安定的に応用できるようにするには、次の2つの課題が挙げられた。一つは演算に必要なパラメータの最適化である。再構成アルゴリズムは完成したものの、反復演算法のため、パラメータの設定が断層像の収束過程に大きく影響することが分かった。二つ目は、実験的課題で、投影像シリーズの位置合わせ法の開発が重要であることが認識されたことである(その精度と自動化)。 一つ目に関しては、本年度、シミュレーションに重きを置き、効果的なファントムを用いて(計算機モデル)、そのパラメータ最適化について検討を行った。その結果、断層像の収束状態(反復演算ごとの変化から収束に向かっているか否かを判断)に応じて動的にパラメータの値を変化させることで解決(最適化)出来ることが分かった。二つ目については、新たな位置合わせ方法が考案できた。これまでの投影像を使う方法から3次元断層像を用いる方法に変えたものである。これにより自動化と格段に位置合わせ精度が向上できた。このように、研究目的の実用化に向け成果が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要で述べたように、本手法を様々な試料に安定的に応用できるようにするための二つの課題、すなわち、演算に必要なパラメータの最適化と投影像の位置合わせ法の高精度・自動化に目途がつけられたことにより、研究目的の実用化に向け前進できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
安定的、かつ高速な演算アルゴリズムの改良をさらに推し進め、応用実験を推進していく。最も困難と思われる複雑な形態の生物試料やナノ材料に応用する。電子線損傷の影響を抑える方法の改善として少ない投影像枚数からの再構成実験も行い、検証と真の汎用化、実用化を促進する。さらに最終年度を迎え、研究成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ソフトウェア開発が順調に進捗し、予定より人件費費用が抑えられたため。 最終年度を迎えるに当たり、ユーザフレンドリーなソフトウェアの完成と、応用実験の推進を図る。これらのためのプログラム開発人件費と試料作成費用に充てる。
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Research Products
(9 results)