2012 Fiscal Year Research-status Report
in situ XAFSとXRD同時測定による無機発光材料の活性点構造の解明
Project/Area Number |
24510162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
阪東 恭子 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (50357828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 英一 公益財団法人佐賀県地域産業支援センター九州シンクロトロン光研究センター, ビームライングループ, 主任研究員 (80319376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | in situ XAFS / XRD / 無機EL / Tb / 繊維状アルミナゾル |
Research Abstract |
本年度は、新規XAFSおよびXRD同時測定用セルの設計に必要な情報を得るために、既存のXAFSおよびXRD測定両用セルを用いて、Tbドープ繊維状アルミナゾル(Tb/Al2O3)から調製したEL特性を持つ自立膜に関して、窒素中加熱条件下でのTb L3-edge XAFSおよびXRDの測定を試みるとともに、そこで得られるデータと比較参照するために、各焼成温度で加熱処理したTb/Al2O3のTb L3-edge XAFSを室温でex situ 測定する実験を行い、Tbの状態に関して検討し、母材のAlに関しては、XRDに現れる変化とAlの電子状態を比較検討するために、Al K-edge XAFSによる検討も行った。 その結果、Tbに関しては、加熱条件下と、加熱後室温での測定では、温度による熱振動の効果に加えて、温度によりTbの周囲の配位環境が変化することが分かり、新規セルを利用した測定において注目すべきエネルギー領域を明らかにすることができた。また、母材の構造に関する情報をえるためのXRD測定に関しては、通常のCu Kα線とは違うエネルギーの入射X線を照射したときの、回折角、回折強度とその変化について、加熱条件下での情報を得るとともに、加熱処理後室温測定でのXRD測定とのデータ比較、また、Al K-edge XAFS測定によるAlの電子状態の変化の観察も行い、in situ XRD測定において注目すべきポイントを明確にすることができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題申請時の研究計画では、本年度新規XAFSおよびXRD同時測定用セルを設計、作成しテストを行う計画であった。本課題の研究の対象はTbドープアルミナナノ粒子ゾルであるので、新規に作成するセルもこの試料の測定に最適化したものに設計する必要がる。そこで、本年度はこのようなセル設計の基礎となる情報を得るため、Tbドープアルミナナノ粒子ゾルを各種の処理を行ったものの室温での静的なXAFSおよびXRDスペクトルの測定や、500℃までの低温の条件下での定常状態におけるXAFSおよびXRDの測定を実施し、新規セル設計のための情報収集を行った。これらの実際の測定には、放射光施設でビームタイムを獲得し、その限られた時間内で実施することになるのであるが、本年度はビームタイムが2012年7月、12月、2013年2月に獲得でき、結局データがすべてそろったのは、年度末になってしまい、その情報をもとに新規セルの設計作成を年度内に完了させることはできなかった。しかしながら、2013年度は、2012年度に得られたデータをもとに研究を加速することができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、2012年度に得た、Tbドープアルミナナノ粒子ゾルの定常状態条件下での構造パラメータを参考にして、新規XAFSおよびXRD同時測定用セルの設計、製作を行い、放射光を利用したテスト測定まで行う。 実際には、新規セルの設計を6月までに行い、7月以降製作に着手する。9月までには、試作品を完成させ、実験室でのオフライン(X線照射しない状態)での動作試験を10月に行う。11月には修正点を改善させ、12月放射光施設において、XAFSおよびXRDの定常状態条件下での同時測定のテストを実施し、既にあるデータと比較して、セルの完成度を評価する。さらに、この実験から得られる修正点を改善させ、2014年2月―3月期に放射光施設にて、本課題の主目的である時分割XAFSおよびXRD測定のテストを行う。 セルの設計と並行して、セルの完成度の評価のための比較参照データを収集する。即ち、既存の定常状態条件下でのXAFSおよびXRD測定用セルを利用して、1000℃までの加熱条件下の定常状態でデータを収集する。 また、XAFSおよびXRDで得られるデータから推定される構造変化や電子状態の変化を検証するため、Tbドープアルミナナノ粒子ゾルに含まれるAlやOのK-edge XAFSを各処理を行ったサンプルについて測定し、XAFSやXRDから得たれた情報と比較検討し、本研究課題の目的である無機EL発光の発現機構の解明を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、2013年度は、2012年度に計画していたが実施できなかった新規XAFSおよびXRDセルの製作を行う。そのため、セルの製作費に100万円、セルおよびディテクターの位置を精密の制御するためのステージに90万円、温度コントローラーに20万円、その他消耗品に3万円使用することで、2012年度繰り越した予算を使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Oxygen K-edge XAS Analysis of Novel Alumina Nanoparticles
Author(s)
K. K. Bando, S. Shiki, M. Okubo, M. Ukibe, Y. Suzuki, K. Ihara, H. Takashima, T. Kodaira, Y. Hakuta, F. Mizukami, N. Nagai, E. Kobayashi, T. Okajima
Organizer
15th International Congress on Catalysis
Place of Presentation
International Congress Center, ドイツ, ミュンヘン
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