2012 Fiscal Year Research-status Report
血中循環がん細胞の検出を目指した細胞チップデバイスの開発
Project/Area Number |
24510173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山村 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (50432141)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞チップ / マイクロアレイ / 循環がん細胞 / 転移性がん / 単一細胞解析 / バイオチップ / ハイスループットスクリーニング |
Research Abstract |
微細加工技術であるナノリソグラフィー技術(LIGAプロセス)を用いて、直径105マイクロメートルのマイクロアレイチップを作製した。マイクロチャンバーの直径、深さなどのデザインや、チップの表面処理として酸素プラズマ処理条件を検討することによって、白血球を均一かつ単一層に配置することに成功した。これらの条件をもとに、展開する細胞濃度を調整することによって、1つのマイクロチャンバーの穴底のみに約90個の白血球を配置することができ、1枚のチップで約180万個の白血球を単一層に配置することが可能となった。さらに、白血球中に培養系肺がん細胞(H1650株)を添加した試料をチップ上に展開した後、蛍光標識抗体等を用いて染色することによって、1枚のチップで100万個に1個(0.0001%)の標的がん細胞を検出することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、目標としていた高集積型の細胞チップを設計作製し、1枚のチップ上で約180万個の白血球を均一かつ単一層に配置することに成功した。それに加えて、培養系白血球細胞および全血試料に添加した培養系肺がん細胞(H1650株)の検出することができた。また、検出感度しては、1枚のチップで100万個に1個(0.0001%)以下の標的がん細胞を検出することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、作製した細胞チップ上で、白血球中に混在する極少数のがん細胞を対象に、複数の蛍光標識抗体等を用いて、がん細胞のみを正確に検出できるように抗体や色素の種類や濃度の条件検討を行う。以上の条件を踏まえて、マイクロアレイスキャナーで高感度に検出できる条件を調べる。次に、添加するがん細胞の細胞濃度を変化させ、がん細胞濃度に依存して定量的に検出するための条件の洗い出しを行う。それと同時に、抗体多重染色をチップ上で行い、がん種の同定ができるように複数の抗体による染色を試み、より正確な解析ができるシステムを目指す。さらに、標的がん細胞の回収やチップ上でそのままPCRを行うことを検討し、標的の単一がん細胞の機能解析を行うことを試みる。それによって、正確性の高い循環がん細胞の解析、診断システムの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後、複数の蛍光標識抗体等を用いて抗体多重染色の条件を検討するため、各種蛍光標識抗体や蛍光フィルターの購入を検討している。使用しているマイクロアレイスキャナーが2種類のレーザーしか搭載していないことから、抗体多重染色を行う場合、同時に蛍光顕微鏡も使用する必要があるため、各種レーザーや色素に合わせた蛍光フィルターを購入する予定である。また、研究遂行期間を通して、実験計画遂行上、複数の培養細胞(白血球細胞、各種がん細胞等)を培養することから、年間100万円程度の細胞培養用消耗品(プラスチックプレート、ピペット、培養用ガスボンベ等)が最低必要である。また、年数回、研究成果を社会に発信するために種々の必要経費(論文別刷、学会発表)を計上している。
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