2013 Fiscal Year Research-status Report
粒子表面上での金属ナノ粒子の自己形成・自己集積パターニング技術の開発
Project/Area Number |
24510176
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
酒井 俊郎 信州大学, 工学部, 准教授 (30468706)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 核粒子 / 両親媒性高分子 / 自己形成 / 自己集積 / パターニング / 金属イオン還元 / 自己組織化 |
Research Abstract |
平成24年度では、両親媒性高分子の“自己組織化能”と“金属イオンの還元能”を利用して、シリカ粒子上への金ナノ粒子の自己形成・自己集積化について検討した。その結果、反応温度80℃において、ポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)ブロック共重合体であるPluronic L64とPEOホモポリマーであるポリエチレングリコールを使用した場合に、シリカ上に金ナノ粒子が集積されることが明らかとなった。Pluronic L64の場合には、約3 nm径の金ナノ粒子が島状に集積され、PEOホモポリマーの場合には、約3 nm径の金ナノ粒子が均一に集積されることが分かった。平成25年度では、マイクロメートルサイズのシリカ粒子(シリカマイクロ粒子)上での金ナノ粒子の配列(次元)制御およびパターニングについて検討した。その結果、反応温度25℃においてシリカマイクロ粒子上に板状(2次元)金ナノ粒子が形成することが明らかとなった。また、反応温度80℃において、シリカマイクロ粒子上に球状(0次元)金ナノ粒子が高密度に集積することが明らかとなった。すなわち、シリカマイクロ粒子上での金ナノ粒子の0次元(0D)、2次元(2D)配列に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、“自己組織化能”と“金属イオンの還元能”を有する両親媒性高分子を利用して、固体粒子表面(曲率界面)上に形成する自己組織化膜中での金属ナノ粒子の自己形成・自己集積パターニング技術を確立することを目的としている。平成25年度の目標は、粒子表面上に形成した金属ナノ粒子の配列(次元)制御およびパターニングである。すなわち、シリカ粒子表面状に金ナノ粒子を0次元(ランダム)集積、1次元(ネットワーク状)集積、2次元(ドメイン状)集積を実現する条件を見出すことを目的とする。平成24年度に見出されたシリカ粒子上に金ナノ粒子が自己形成・自己集積する両親媒性高分子であるPluronic L64(ポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシドブロック共重合体)を用いて、シリカ粒子上に形成する金ナノ粒子の配列(次元)制御およびパターニングについて検討した。その結果、反応温度に依存して形成される金ナノ粒子の次元を制御できることを明らかとした。例えば、25℃で調製された場合、板状(2次元)金ナノ粒子が形成され、80℃で調製された場合、球状(0次元)金ナノ粒子が形成された。現在、棒状、ワイヤー状、ネットワーク状(1次元)粒子の調製および集積化について検討している。そのため、平成25年度の目標はおおむね達成されたものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
目標:シリカ粒子表面上での金ナノ粒子の集積状態と触媒活性との相関性を見出す。 評価:過酸化水素の分解反応(H2O2 → 2H2O + O2)により金ナノ粒子の触媒活性評価を行う。過酸化水素の残存量は、ヨウ化物イオン(I-)と過酸化水素との反応により生成するI3-の生成量から定量する(申請者所有の紫外可視分光光度計を使用)。 課題:どのようにして、金属ナノ粒子の集積状態を維持したまま両親媒性高分子を除去するか?⇒焼成処理により両親媒性高分子を除去すると、シンタリングにより集積状態が変化することが懸念される。 解決策:アルコール等の洗浄方法を検討する。 評価:TG-DTA測定により、残存している両親媒性高分子の質量を見積もる。
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