2013 Fiscal Year Research-status Report
固有ジョセフソン接合の層平行磁場下でのテラヘルツ発振
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24510181
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
羽多野 毅 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, グループリーダー (50354337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Huabing 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70421427)
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Keywords | テラヘルツ発振 / 固有ジョセフソン接合 / ジョセフソン磁束フロー |
Research Abstract |
ビスマス系高温超伝導体は、その結晶構造にジョセフソン接合が結晶の並進対称性を反映して膨大な数のアレイを形成していることから、数を利してのテラヘルツ発振素子開発が期待される。発振応用には、すべての接合を同期発振させる必要性から、磁束量子、特に接合に平行に印加された磁界により形成される“ジョセフソン磁束格子”を利用する方法が理論的に提案され、ジョセフソン磁束が接合電流によりローレンツ力を受けて接合面内を電磁波レベルの速度で運動(磁束フロー)させる現象の研究を行い、磁束の運動速度を評価するとともに発振条件を探る。 平成25年度は、ジョセフソン接合のテラヘルツ高周波特性を左右する最重要な要件は、接合の面内均一性にあり、そのためにはビスマス系高温超伝導体の高品質単結晶の育成が必須である。しかも、接合面積がテラヘルツの波長を反映して、サブミリメートルの接合面積が必要であり、さらに接合アレイとして用いることから、厚み方向の均質性も必要である。そこで、ビスマス系高温超伝導体の大型単結晶育成を〝浮遊帯移動法”を用いて、数ミリメートル角の単結晶の合成に成功し、その結晶完全性・組成均一性を評価し良好な結果を得た。これらの結晶は大面積の接合サイズにおいても、テラヘルツ実験に必要な電流~電圧特性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高品質のビスマス系高温超伝導体の大型単結晶育成に〝浮遊帯移動法”を用いて、数ミリメートル角の単結晶の合成に成功した。その結晶完全性・組成均一性を反映してこれらの結晶は大面積の接合サイズにおいても、テラヘルツ実験に必要な電流~電圧特性を示した。近年のヘリウム資源枯渇を反映して、ヘリウム節約のためゼロ磁場クライオスタットを用いたテラヘルツ発振評価に集約して実験を行っている。良好な結晶性に起因して、固有ジョセフソン接合列に周期的存在する電気絶縁層が熱伝導のバリアとしても働き、接合列の電流注入電極側に発熱が見られることが既に知られているが、この発熱部がジョセフソン接合を電気抵抗で短絡する働きをすることが期待され、実際に発振周波数の線幅が最小5MHzと、発振周波数の100,000分の1という記録を打ち立てている。平成25年度は、発熱部分の低温レーザー顕微鏡観察を進めるとともに、数値モデルによる解析も行い、発熱部分に起因した接合発振動作のコヒーレンス向上を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究には、高品質のビスマス系高温超伝導体単結晶が必要であるが、これまでの研究で”劈開性を抑え”、不可逆温度を上げるなどの要請も加わった。そのためにBiO面-BiO面の間の過剰酸素量を増やすなどの方策を試みるとともに、結晶破壊の引き金となる欠陥密度を下げる。 接合スタック・サイズが大きい程、接合の不均質性がコヒーレンス低下に結びつくので、結晶均一性をさらに向上する方法を検討する。結晶の欠陥密度を下げることにより、また絶縁層の電気特性を最適化することにより、よりコヒーレンスを向上させ、惹いては発振出力を実用領域のmW級に向上させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
契約額積算の末尾として、2円余った。 物品費に加算して使用する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Direct observation of the depairing current density in single-crystalline Ba0.5K0.5Fe2As2 microbridge with nanoscale thickness2013
Author(s)
Jun Li, Jie Yuan, Ya-Hua Yuan, Jun-Yi Ge, Meng-Yue Li, Hai-Luke Feng, Paulo J. Pereira, Akira Ishii, Takeshi Hatano, Alejandro V. Silhanek, Liviu F. Chibotaru, Johan Vanacken, Kazunari Yamaura, Yamaua-Bing Wang, Eiji Takayama-Muromachi, and Victor V. Moshchalkov
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Journal Title
Appl. Phys. Lett.
Volume: 103
Pages: 062603, 1-4
DOI
Peer Reviewed
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