2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 京子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (10345366)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IPO / アンダープライシング / 初期収益率 / 企業価値 |
Research Abstract |
研究初年度である平成24年度は、基本となるデータベースの拡張に優先的に取り組んできた。2011年に実施されたJASDAQにおけるIPOをサンプルとして収集し、公開価格、初日終値、公開直前の財務情報などの定量的情報に加え、アンダーライターなどに関する定性的情報も一部追加したデータベースを構築することができた。 また、データベースの構築と並行して、自らが行ってきた研究成果、現在までに構築しているデータベースの分析から得られる予備的な知見を整理するとともに、国内外で展開されているIPOや株主所有構造と株価及び財務業績に関する研究を融合して、仮説を精緻化し、実証モデルの構築を行った。IPOに関連する文献以外にも主にファイナンス領域で展開されている米国を中心とするコーポレート・ガバナンスや企業評価に関する研究、日本企業の株主構成と企業の意思決定に関する研究などについても網羅的に文献を整理した。 これらをもとに計画に先行して一部ショートペーパーにまとめ、日本経営財務研究学会において報告を行った。 また、米国のファイナンス研究の第一人者であるハワイ大学のS.G.Rhee教授と日米のコーポレートガバナンスの違いなどについて意見交換するとともに、世界各国から多くの会計・ファイナンス分野の研究者が参加する国際会議(The 24th Asian Pacific Conference on International Accounting Issues)に参加して最新の研究成果を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの構築に関しては、当初、予定していた項目についてはほぼ網羅することができた。また、限られたデータの範囲ではあるが、予備的な分析を行った結果をショートペーパーにまとめて国内の学会において報告することができたことは、当初の達成目標以上の進展である。加えて、その後の文献レビュー、最新の研究動向、および学会報告に対する討論者からのコメントなどから、新たな課題も明らかにすることができた。以上より、本研究の目的の達成度はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目以降では、まず、初年度に構築したデータベースに、最新の研究動向から有用であろうと思われるに至ったいくつかの変数を追加する。この更新されたデータベース用いて、理論価値の推定を行い、仮説を統計的に検証する。 まず、理論価値との関係から公開価格および初値が過大評価になっているもの、過小評価になっているもの、および適正評価になっているものにそれぞれ分類し、公開価格と初値の関係を分析する。また、法人株主による株式保有等をベースとして作成したポートフォリオに基づく単変量分析も行う。 さらに予備的な分析の発見事項をまとめてショートペーパーにまとめ、サンプルの基本的傾向を明らかにするとともに、仮説の妥当性をチェックする。またこの段階で不足の変数等、さらに追加すべき情報が明らかになった場合にはさらにデータベースに追加、拡張する。次に、公開価格および初値の過大評価、過小評価と事前の業績、株主構成や市場環境との間の関係をみるために、主に多変量解析を行う。初期収益率の要因解明についても同様に主として多変量解析を用いて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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