2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510182
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 京子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (10345366)
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Keywords | IPO / アンダープライシング / 初期収益率 / 企業価値 |
Research Abstract |
研究2年度である平成25年度は、初年度に完成させたデータベースを用いて実証分析を進め、前年度に得られた予備的結果をさらに拡張するとともにショートペーパーの改訂および新たなワーキングペーパーの仮説の構築を行った。その結果として、大きく2つの成果を上げることができた。まず、各企業の理論価値を算出することで、初値の過大・過小評価を理論的に推定し、そうしたミスプライシングが株式公開直前における利益調整行動と関連性があることを検証した点である。これは本研究の中心的な課題である初期収益率(アンダープライシング)を既存理論の枠組みにおける「真実」価値からのディスカウントとして捉えるのではなく、発行市場における価格付けと流通市場における評価との相対的な関係としてとらえなおす上で、重要な第一歩であるといえる。2つめは、各企業の株式公開直前期における利益調整行動が初期収益率を拡張させる、つまり利益を過大に見せようという経営者の行動がリスク要因として作用することを実証した点である。利益調整行動は新規株式公開に関する研究において主要なテーマのひとつであったにもかかわらず、これまでの研究では初期収益率との直接的な関係は解明されていなかったため、新たな発見であり、本研究領域で大きな意義があるといえる。これらの成果はそれぞれ論文としてまとめ上げ、査読付き学術誌で既に公表済みである。 また、これら2つの相互に関連する実証結果をふまえ、さらに新たな研究を行うために、世界各国から多くの会計・ファイナンス分野の研究者が参加する国際会議やワークショップに参加し、最新の研究成果を収集するとともに、予備的な結果をもとに討議・意見交換を行い、新たな仮説の構築に着手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度に行った予備分析の結果にさらに分析を加え、論文として公表するとともに新たな仮説の構築にも取り組むことができた。2年目において査読付き学術誌に論文を2本公表できたことは、当初の達成目標以上の進展である一方、最終年度に取り組むべき新たな課題も明らかになった。以上より、本研究の目的の達成度はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度は、昨年度までに得られた結果と併せて残された仮説の検証を行い、新たな論文としてまとめ、国際会議で報告し、そこで得られたコメント等をもとに論文を改訂し、ジャーナルへの投稿を行う計画である。
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