2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小谷 重徳 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (10404948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インダストリアル・エンジニアリング |
Research Abstract |
林業において最も労力を要し、大変な作業である伐採木の搬出作業は、伐採現場の条件や、林道・作業道の状況から林道・作業道をどのように敷設できるか、またどのような林業機械が利用できるかによって、搬出の作業システムは大きく変わる。搬出作業システムの大幅な生産性向上を図るためには、代表的な搬出作業システムを特定しないと困難である。そこで、文献調査や現地調査(5回)を実施して、代表的な2つの搬出作業システムをモデルとして考えた。その1つが、山が急峻で林道・作業道の敷設が困難な場合に架線を張って集材する「架線集材方式」である。もう1つが、林道や作業道の密度が比較的高い場合に適応できるスイングヤーダを用いた方法で、「車両集材方式」である。 今年度は架線集材方式をメインに調査することにした。架線集材方式では、山中、土場、集材機の操作員の3人で作業をする。山中の作業員は搬器が到着する前に、材にワイヤを掛ける準備作業をし、搬器が上昇してくるとワイヤを掛けた材のところに搬器を下降させる指示をする。その後、搬器にワイヤを掛けて搬器の下降を指示する。土場の作業員は搬器が下降してくると、搬器から材を外した後、プロセッサで造材し、一時置き場に材を置く。これらの作業は次の搬器が来るまでに完了しておく。集材機の操作員は無線による作業指示を受けるために、次の操作ができるように待機している。 現地調査では以上の3人の作業者の作業分析や時間測定をし、問題点を明らかにした。生産性を向上させるためには、搬器が土場から山中に行き、再度土場に帰ってくるまでの時間(サイクルタイム)を短縮する必要があり、この観点から改善案を提案した。また、無線指示による集材機の自動運転により、操作員を不要にし、集材機の大幅な改造を伴うが、2人で作業ができる集材作業システムを考案し、生産性を2倍以上にする方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した2つの集材作業システムのモデルのうち、架線集材方式については現地調査をして問題点を明らかにし、生産性を2倍以上にアップすることができる方法を考案した。これについては計画以上の進展があった。 しかし、もう1つの集材作業システムのモデルである車両集材方式については、現地調査ができなかった。これは身近なところで、この方式を採用している現場が非常に少なかったことや現地調査の当日に別の作業方式で行っていたことなどによって今年度は未調査に終わってしまった。文献等では調査したが、現地調査が不可欠で、このモデルに対する研究は計画よりやや遅れている。 以上のような進捗状況で、全体としておおむね順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は2つの集材作業システムのモデルに対して、生産性が大幅に向上する新しい集材作業システムを開発することである。1つのモデルである「架線集材方式」では新しい方法を考案し、提案した。これを実現するために、改善案の1つ1つについてどのように実現できるかを検討し、問題なら見直しを図りながら実現をしていく。特に、実際の現場で実施できることは、実際に確認しながら進めていきたい。機器の開発や大幅な改良を要する改善案については、機器の製造販売会社などの参画を得て、どのように進められるかを検討する。研究期間に機器の開発や改良ができない場合について、どのように対応するか検討をする。 もう1つのモデルである「車両集材方式」については、文献調査だけなので、現地の調査を実施する。いくつかの現地調査を通じて、問題点を明らかにし、大幅に生産性が向上する集材作業システムを考案することを目指す。文献調査では、3人作業を2人にするなどの方法はできないようであるので、大幅な生産性の向上は大変難しいと考えられる。改善のポイントは、3人の作業者が手待ちなく作業ができるように、作業のバランスをとること重要と思われる。このような観点から調査をし、問題点や課題を明らかにして新しい方法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は今年度の未使用研究費の繰り越しを含めて、約133万円である。次年度の研究費の使用計画は次のとおりである。 (1)物品費(19万円):研究用のノートパソコン(VAIO Duo11)として9万円。文献の購入費として8万円。プリンターのインク代として2万円。 (2)旅費(100万円):伐採現場の調査研究の旅費として50万円。研究の打ち合わせの旅費として42万円。学会での研究発表の旅費として8万円。 (3)その他(14万円):論文発表として10万円。通信や郵送費として4万円。 5.の(4)の理由であるが、不足した調査を来年度に計画し実施する。
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