2012 Fiscal Year Research-status Report
データマイニング手法の応用による列車ダイヤの頑健性向上手法の研究
Project/Area Number |
24510199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
富井 規雄 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (50426029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | データマイニング / ビッグデータ / 列車運行実績 / 鉄道 / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
膨大な量の列車運行実績データから様々な条件を指定して絞込み,多様な状況におけるデータから視覚的な分析を容易に行なうことのできるシステムを構築した。本システムは,リレーショナルデータベース,統計処理パッケージ等を組み合わせて構築されている.本システムを現実の列車運行実績データに対して適用し,ある路線における駅ごとの一定時分以上の遅延の発生頻度等の分析を行なった。その結果,この使用例については,4月は10月に比べて遅延の発生頻度が高いこと,その差は,列車の進行に連れて大きくなるが,都心を抜けると減少していくことが分かるなど,現状の遅延の発生状況等の分析に有効であることを実証した。 さらに,本研究では,広範囲に影響を及ぼし,かつ,頻繁に発生する一次遅延を「遅延の元凶」と名付け,長期間の列車運行実績データからそのような一次遅延を検出するアルゴリズムを構築した.このアルゴリズムは,ある1日の列車運行実績データをある種の有向グラフで表現し,問題となる二次遅延からクリティカルパスをたどることによって,遅延の発生元となっている一次遅延を特定する.そして,このアルゴリズムを長期間の列車運行実績データに繰り返し適用することにより,広範囲に影響を及ぼし,かつ,頻繁に発生する一次遅延を検出する.このアルゴリズムを実路線の列車運行実績データに対して適用した結果,遅延の元凶を正しく検出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行には,鉄道会社からの列車運行実績データの提供が不可欠であるが,現時点まで,円滑な協力が得られ,継続して,列車運行実績データの提供が行なわれている。また,本研究の成果への期待も高い。 このような事情から,本研究は,おおむね,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに,現状分析を行なうための基本的なツールの作成を完了した。また,遅延の原因分析のためのアルゴリズムの基礎部分を構築した。今後は,このアルゴリズムで摘出された原因を改良できたと仮定した場合の効果を定量的に推測することのできるアルゴリズムの構築とそのテストに取り組む。 あわせて,現状の列車運行実績データには,駅の着・発時刻しか含まれていないが,駅間の列車の運行状況をより詳細に把握できるデータの取得をこころみ,これによって,より稠密に列車が運転されている路線における運行状況の把握と,遅延の改善に資するアルゴリズムを考案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PC関連の消耗品,海外・国内の学会での論文発表のための出張旅費に使用する。
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