2013 Fiscal Year Research-status Report
戦略的顧客に対する商品設定とサービス提供方策の研究
Project/Area Number |
24510202
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
増田 靖 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10286643)
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Keywords | 経営システム / 経営科学 / 価格設定 / 戦略的顧客 / ゲーム論 / 国際情報交換:米国 |
Research Abstract |
本研究のテーマな複数のエージェントの利害が密接に絡まっているときに、それぞれのエージェントがどのような戦略がとることになるかを分析することにある。今年度は3つの方向で研究が進んだ。 1つ目は、「競合他社へのライセンス供与の問題」で、パテントを持つ企業が競合企業にいかに有償ライセンス供与するかが問題である。ここで、ライセンス供与を受ける企業(競合企業)が顧客である。競合企業はライセンス供与を受けない場合には、同様の技術を自社で開発するかもしれない。よって、パテントを持つ企業は、競合企業が自社開発に踏み切らない範囲で、ライセンス料金を設定する必要がある。ライセンシングの価格方式としては二部価格を考える。パテントの技術的強さと市場の状況により、どのようなライセンシング方式が、パテントを持つ企業にとって最適となるかをゲーム論的に検討し、定量的・定性的な結果を得た。 2つ目は、「優先度設定による混雑緩和の問題」で、顧客に対する優先度を適切に設定することで、サービス施設全体の混雑を軽減し、顧客全体へのサービス品質を向上させる問題である。この問題は、前年度から継続している問題であり、数値実験により、問題に対する理解がより深まりつつある。 3つ目は、「デジタル商品における戦略的顧客と価格設定の問題」である。この問題に関しては、数値的な分析が進んではいるが、定性的な分析について検討中の部分がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「競合他社へのライセンス供与の問題」に関しては、研究が比較的早く進み、すでに査読付論文として掲載が決定されており、極めて順調に研究が進展した。「優先度設定による混雑緩和の問題」に関しては、数値的な分析が進み、研究が深化しており、論文の改訂版が投稿間近となっている。「デジタル商品における戦略的顧客と価格設定の問題」は、当初は理論的にも数値的にも良い結果が出ていたが、キーとなる定性的性質について不明の部分があり、どのように研究を進めるべきか検討中となっている。 今年度進んだ、3つの研究プロジェクト全体の進行状況としては、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「優先度設定による混雑緩和の問題」に関しては、論文の深化・改訂を進めて投稿する。「デジタル商品における戦略的顧客と価格設定の問題」については、分析の方向性が明らかになったら、再挑戦する。 さらに現在新たに立ち上がりつつあるプロジェクトとしては、「水平的製品差別と販維持制度の問題」がある。戦略的顧客のもとで、競合する2企業がいかに長期的に協力的な価格戦略を取るかを議論する。 また、成功裏に終わった、「競合他社へのライセンス供与の問題」から派生した新たな問題にも取り組みつつある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「優先度設定による混雑緩和の問題」を第20回Conference of the International Federation of Operations Research Societies (スペイン)で発表する予定である。「競合他社へのライセンス供与の問題」をオペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会の全国大会で発表の予定である。 前年度に引き続き、それぞれのプロジェクトのモデル検証のための計算実験を実施する。 研究費は、研究成果発表と、計算機上でのモデルの実装のための人件費とハードウェア購入に充当される。
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