2014 Fiscal Year Research-status Report
株式市場の不安定性と内生的価格形成メカニズムの研究
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24510203
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
増川 純一 成城大学, 経済学部, 教授 (30199690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 株式市場の暴落 / 市場参加者の集団行動 / 意志決定モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①情報がもたらす価格への影響はニュースの軽重だけでなくその時の市場の不安定性に依存して決まること、②株価はニュースだけでなく市場参加者の予見と実際の価格変動とのフィードバック効果により内生的にも形成されることを実証研究やモデルを用いた考察から明らかにすることである。 これらの研究目的のために、 1.ニュース・インパクトの蓄積効果の検証、2.市場参加者の協調的集団運動の検証、3.市場参加者の予見と実際の価格変動との正のフィードバック効果の実証および、4.異なる時間スケール間の情報伝達過程を検証し内生的価格形成メカニズムとの関係を明らかにすること、5.内生的価格形成の数理モデルを作成することを研究実施計画として掲げた。 実施計画1.と2.に関しては、 2008年10月の株式市場の世界的暴落の実証研究により、暴落の前駆現象として銘柄間の協調的な動きを表す統計量が急激に大きくなることが分かった。また、投資家間の模倣的な群れ行動は、”financial crisis”という世界経済に関する悲観的なワードの出現とともに高まっていった。 これらの結果は、2本の査読付き論論文として公表し、国内3件、国外5件の関連する学会、研究集会において、この成果を報告した。 実施計画2、3.を進めるために、需給が極端に偏った状況における市場参加者の発注行動に関してモデル化を行い、東証の売買注文のデータを用いて検証した。その結果、内生的な暴落においては、市場参加者は他の市場参加者の影響を受けながら売買の意志決定を行うことを明らかにした。成果は、国内2件、国外2件の関連する学会、研究集会において報告した。現在論文執筆中である。 実施計画4、5.関しては、異なる時間スケールをもつ複数の投資主体が混在する、数理モデルの検討を確率論の研究者とともに行い、成果がまとまりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画1.ニュース・インパクトの蓄積効果の検証、2.市場参加者の協調的集団運動の検証に関しては一定の成果が得られたと考えている。また、その成果は、国内外の学会研究集会で発表し、論文としても公表した。 実施計画2、3.に関しては、特別気配という暴落時の特別な状況下ではあるが、市場参加者の協調的集団運動、予見と実際の価格変動との正のフィードバック効果を検証し、その成果を国内外の学会、研究集会で発表した。論文としての公表は現在準備中である。 実施計画4、5.の異なる時間スケール間の情報伝達過程と内生的価格形成メカニズムとの関係の検証と数理モデルに関して、ある程度数理モデルの検討は進んでいるが、実証研究による検証が充分に行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は次のような研究を行う。 ・実施計画2、3.に関する成果を論文として公表すること。 ・実施計画2、3.の検証を特別気配という特別な状況下だけでなく、寄り付きや、ザラバに拡張すること。 ・実施計画4、5.を継続すること。
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Causes of Carryover |
プログラム開発に時間がかかっているため、そのための謝金が未払いである。また、論文執筆が年度内に完了しなかったため、英文校正のための謝金も未払いである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プログラム開発と執筆中の論文の英文校正の為の謝金に使用する。
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Research Products
(5 results)