2013 Fiscal Year Research-status Report
清水港における船舶を利用した震災時緊急電源システムの研究
Project/Area Number |
24510205
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金子 仁 東海大学, 海洋学部, 教授 (00127416)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津金 正典 東海大学, 海洋学部, 教授 (30384902)
|
Keywords | 防災 / 陸上用非常用電源 / 船舶電源 / スマートグリッド / 港湾 / 新エネルギー / 船舶による支援 / BCP |
Research Abstract |
(1)電源船からの電力供給量を増やすための対策では、内航フェリーや旅客船1隻当たりの発電量が内航貨物船より多いことが分かった。清水港の埠頭に配置し検討した結果も多くなることが分かった。(2)電源船と陸上電力との接続方法では、内航船の場合、直流船(一般に24V)、交流船(一般に60Hz、110V、200V、445V、450V)であり、(a)中部電力(中電)と接続する場合は、①直流接続の場合であるが、直流船からパワーコンにて中電に接続、交流船の電気を1度直流に変換してパワーコンにて中電に接続、②交流での接続であるが、交流船の電気を中電の規定電圧(例:60Hz、100V、200V、6,600V)にしてから中電と同期させて接続、工場に自家発電の設置がある場合で、中電と並列して使用している場合であるが逆潮流して中電へ供給、がある。しかし、現在のところの調査では、清水港付近では逆潮流できる自家発電設備はない。(b)港湾地区ユーザーに直接接続する場合では、①直流船の場合は、交流変換、昇圧して接続、②交流船の場合、そのまま接続、陸側で変圧(降圧、昇圧)して接続する場合、がある。(3)電源船‐陸上の電源接続において港湾上の設備では津波に強い設備とする必要があるが、①津波波高より高い位置に接続設備(設備)を設置、②浮体上に設備を設置し、津波が来た場合に浮き上がるようにする、③常時、高台に設備を格納して津波が引いてから、港湾に移動させて接続、する案がある。(4)東海大学の小型船19トン「北斗」の電源を東海大学海洋学部・臨海実験棟に給電する実証実験を静岡市の関係者に参加していただき2回実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我が国の防災意識の向上、電力自由化の流れと相まって本システムは可能性が高いことが分かってきた。本システムと同様なシステムを検討しているメーカーなどが出てきて本システムの考え方は社会に合っていることが分かった。最終年度に本研究の目的である基本概念の提案は問題なくできる。さらに追加として、清水港ばかりでなく我が国のインフラとしての道筋を提案することができると考えている。詳細は以下の通り。(1)当初、本システムはフィージブルか、社会に受け入れられるのかの疑問があったがフェリーを追加することで内航船では500万kW程度の電力容量があること、また技術的な問題はないことが分かった。本システムは静岡市清水港付近ばかりでなく我が国に役立つと考えるがその道筋を提案できる。給電に関してはいくつかに分類できることが分かった。(2)システムとしては大きく①清水港のシステムを北海道~沖縄までの港湾のインフラとしてつくり、震災時に全国に給電、②地方の港湾都市のみに給電、③港湾地区の工場に給電、する方法があることを考えた。(3)静岡県では伊豆半島や離島などの漁港で小型漁船から直接給電したいとのニーズがあり東海大学の19トンの船舶で給電実験を行い関係者に披露した。実験に関しては、当初、考えていなかったが、研究の過程で実験し社会に披露することが社会還元できると考えができること、また、実際に行うことでの問題点を見つけることを目的として行った。(4)いくつかの大手造船所は同様に船舶から陸へ給電する船舶の設計を実施、韓国では2017年に電源船(88万kW)を建造する予定であるなど、この分野でのビジネスを検討してきており、本研究はフィージブルであることが分かった。今後、増々実用化の方向へ進むと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は全体の基本設計の完成と課題の整理であるが、以下のとおり実施の予定。 (1)清水港の船舶を利用した震災時緊急電源システム基本設計に関して、電源船-港湾の設備-中電電力系統の全体のシステムをまとめる予定である。また、実際の港湾工場に給電するための基本設計をまとめる予定である。(2)清水港の船舶を利用した震災時緊急電源システムの電力供給能力の推定は、ほぼできているが、浮体システムを考慮したシステムを2年度に続き検討する。(3)課題整理と解決策の提案および展望のまとめは、実際に船舶‐陸上の電源供給を実施した企業、行政や電力会社などにヒアリングし課題(法規制、技術)をまとめ、解決策の提案を行う。(4)我が国全体の電源インフラとして有効活用するための提案をまとめるが行政、電力会社等の関係者にヒアリングする。(5)メーカーがこのビジネスに参加してきている。ビジネスの目的をヒアリングし、本システムに相乗効果を与えるための調査を行う。(6)BCP(事業の継続計画)の対応で企業は努力してきている。しかしながら、電力設備の投資は負担と考える。そこで容量市場などが検討され、電力の信頼感を与えるシステムが検討されている。そこに電源船が適用できれば良いと思うが、調査する。(7) 本システムは海に囲まれた我が国に合ったシステムと考えている。今まで船舶関係の学会にて発表してきた。今後、我が国の新エネルギーとして、エネルギー対策関係の学会で発表(エネルギー・資源学会に投稿中)し考えを広める予定。
|