2013 Fiscal Year Research-status Report
女性における荷物取り扱い作業時の身体的負担に関する研究
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24510215
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐藤 望 近畿大学, 社会学部, 准教授 (60268472)
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Keywords | 生体負担 / 労働衛生 / 荷物取り扱い作業 / 性差 |
Research Abstract |
作業関連性腰痛を発症させる可能性が高い作業として荷物取り扱い作業がある。荷物取り扱い作業は単独で行う場合だけではなく、荷物の重量や大きさ、運搬距離などによっては複数の作業者が協力して行う場合も多い。複数で作業を行う場合の作業負荷は、個々の作業者における荷物の保持方法や身長差などに依存して変化し、単に荷物の重量を作業者の数で割ったものには一致しないと考えられる。この問題は近年着目されつつあるものの、研究対象者は男性であることが多く、女性を対象とした研究例はあまり認められない。したがって、本研究では、複数で荷物取り扱い作業を行う時の身体的負担における性差および単独作業と複数作業者間の差異を明らかにすることを目的とした。 今年度は平成24年度に実施した単独作業で用いた箱の重量と縦・高さの寸法を2倍にし、重量12㎏、縦65cm×横43cm×高さ23.5cmの箱を用いて予備実験を行ったところ、男性、女性共に負荷が低すぎたため、負担感に床効果が生じてしまうこと、また、荷物の重量が軽すぎるため、荷物を持ち上げる際に上方向に引き上げ過ぎてしまう傾向がある等の問題が生じることが明らかとなった。そこで、これらの問題を解消するための負荷条件を安全上の許容範囲内に留めるよう配慮して高めることを検討した。また、負荷条件の変更に伴って研究実施計画時の作業条件で実験を遂行すると、計画時よりも疲労の蓄積が見込まれるため、試行回数の削減、試行間隔の延長など、実験プロトコル全般について見直しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予備実験の結果、実験計画時に設定した負荷の条件、実験プロトコルの見直しが必要となった。個々の問題点の見直しに想定以上の時間を要し、平成25年度内に本実験を完了することができなかったため「遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下の内容に沿って研究を推進する。 1)平成25年度に実施予定であった実験を完了させ、次の2点を明らかにする。①複数による荷物取り扱い作業における身体的負担の性差、②荷物取り扱い作業を単独で行う場合と複数で行う場合の身体的負担の違い 2)複数による荷物取り扱い作業の実験方法を変更することに伴い、単独による荷物取り扱い作業についても複数作業との比較を可能とするよう実験方法を見直し、データを収集する。 3)荷物取り扱い作業における身体的負担に関する過去の研究について文献研究を行う。申請時はメタアナラシスを行う計画であり、対象とする文献収集作業を開始している。しかし、現時点では、女性の荷物取り扱い作業における身体的負担についてメタアナラシスの対象に適う文献を十分抽出できていない状況である。平成26年度は抽出のためのキーワードを変更する等の手段により引き続き文献収集を行う計画であるが、メタアナラシスを適用する対象として適切な文献の収集が困難な場合は、メタアナラシスによる先行研究の集約から文献レビューに研究計画を変更し、本研究の実験結果との相違点を比較・検討する。 3)3年間の研究を総括し女性作業者が荷物取り扱い作業に従事する際の配慮事項を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)平成24年度の成果を国際会議で発表するために、海外旅費、会議参加登録料を計上していたが、学会開催地であるフィリピンのセブ島が会期直前に台風による被害を受けたことから渡航上の安全面を考え、渡航を取りやめたため。 2)平成25年度に実施する予定であった実験が開始できず、実験で使用する消耗品費、および被験者謝金を使用しなかったため。 平成26年度も成果発表での海外渡航を予定しているため、渡航費、発表論文添削費等のために使用する。また、平成25年に予定していた実験を実施するため、実験に必要な消耗品の購入、被験者謝金に使用する。
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