2014 Fiscal Year Research-status Report
女性における荷物取り扱い作業時の身体的負担に関する研究
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24510215
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐藤 望 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60268472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 荷物取り扱い作業 / 性差 / 生体負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの実験プロトコルを見直した上で、荷物を1人で取り扱う作業(以下1人作業とする)の再実験、および2人で取り扱う作業(以下2人作業とする)条件で実験を実施し身体的負担を評価した。 1人作業では取り扱う荷物として縦33cm×横45cm×高さ30cm、重さ10kgの箱を用いた。実験参加者には持ち上げ作業(床に設置された箱を持ち上げ、高さ70cmの台上に置く)、持ち下げ作業(高さ70cmの台上に置かれた箱を床に降ろす)、運搬作業(床に設置された箱を持ち上げ、前方に3m歩行し、高さ70cmの台上に置く)を行ってもらった。2人作業では、1人作業で用いた箱と同等の寸法、重量を2倍の20kgとした箱を用い、1人作業と同様の条件で作業を行ってもらった。評価指標として僧帽筋、上腕二頭筋、脊柱起立筋、大腿直筋の筋電図、胸部CM5誘導による心電図を測定した。また、各条件後に指、肩、腕、背中、足、全身の負担感について7件法で回答を求めた。実験には同性同士で身長差5cm以内の2名を1組とした男性7組、計14名(平均年齢21.1歳、平均身長171.4cm)、女性5組、計10名(平均年齢20.6歳、平均身長159.5cm)が参加した。結果より、筋電図および負担感は男性と比較すると女性の方が高値を示す作業条件、測定部位が認められたものの、全ての作業条件、測定部位を通して一貫した傾向は認められなかった。心電図に基づいて求めた心拍数には有意な性差は認められなかった。 また、平成27年度にはメタアナラシスを実施する予定であったが、収集した文献において研究デザイン上、バイアスのリスク等に問題点があることが明らかとなった。したがって、メタアナラシスの手法に則らず、各論文における個々の知見に基づき、女性が荷物取扱い作業に従事する際の安全性を確保する方策について総合的に考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
男女各8組の実験を実施する計画であったが、参加条件に適う参加者募集および参加者とのスケジュール調整が捗らず、男性1組、女性3組の測定が終了していない。この状況に伴い、研究の総括に至っていない。また、平成26年度に予定していた成果発表のため国際会議への参加を予定していたが、開催国近隣地域の治安悪化を考慮し参加を中止したため成果発表に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年5月中旬を目途に全実験を終了し、速やかに成果をまとめ論文化する。また、平成26年度に行う予定であった成果発表(学会発表)を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度に国際会議で成果発表を行う予定であったが開催国近隣地域の治安悪化を考慮して参加を中止したため、渡航費、滞在費、学会参加登録料等の経費が未使用となった。また、論文化に伴う英文校正料が未使用である。実験参加謝金について、本件に伴う研究期間の延長許可後の3月に実施した実験における実験参加謝金については平成27年度4月に支出することにしたため未使用である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議での成果発表に関わる経費(渡航費、滞在費、学会参加登録料等)として支出する。また、成果の論文化に伴う校正料として支出する。平成26年度3月に実施した実験に対する参加謝金として支出する。
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