2012 Fiscal Year Research-status Report
局所豪雨を観測する降雨レーダの高精度電磁界解析および雨量と減衰係数の関係の解明
Project/Area Number |
24510253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 雅宏 岐阜大学, 工学部, 准教授 (80267848)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 雨量推定 / 降雨減衰係数 / 電磁界解析 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は,計算手法を確立し,シミュレーションコードを開発することであった。本研究で用いる解析手法は,(1)解析的な解法,(2)モーメント法と解の重ね合わせによる解法,の2種類である。 (1)解析的な解法 解析的な解法は,球体による電磁波散乱を精密に解析できるミー理論と球座標の座標変換を組み合わせた手法である。この手法に関して,解法の定式化とシミュレーションコードの開発を行った。開発したシミュレーションコードの数値解析結果を,これまでに報告されている数値解析結果と比較検討した。その結果,開発したシミュレーションコードの妥当性を確認できた。 (2)モーメント法と解の重ね合わせによる解法 モーメント法と解の重ね合わせによる解法を定式化し提案した。解法の概要は以下の通りである。全物体(全雨滴に相当)による電磁波散乱をモーメント法により同時に解くのではなく,各物体による電磁波散乱のみをモーメント法により解く手法である。解の重ね合わせにより,物体間の相互作用を計算に組み入れる。各物体による電磁波散乱を繰り返し計算することにより,全物体に対する解を得る。また,解析手法の妥当性を検証するため,2次元問題に対してシミュレーションコードの開発を行った。物体が少数しかない場合および屈折率が小さい場合には,標準的なモーメント法による解と一致することを確認した。しかし,物体が多数ある場合および屈折率が大きい場合には,解が収束しない場合があることが分かった。この原因は調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析的な解法に関しては,計算手法の確立,シミュレーションコードの開発ができ,本年度の研究目的をおおむね達成できた。 一方,モーメント法と解の重ね合わせによる解法に関しては,シミュレーションコードの開発は行ったが,解析の条件により解が収束しない場合があった。シミュレーションコードの再確認,計算手法の再検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
解析的な解法に関しては,雨滴の数が増加した場合について,解法の安定性を検証する。また,ミリ波帯における降雨減衰係数と雨量の依存性を調べる計画である。 モーメント法と解の重ね合わせによる解法に関しては,解が収束しない原因を明らかにするため,シミュレーションコードの再確認,計算手法の再検討を行う計画である。また,並行して,3次元シミュレーションコードの開発を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,積分方程式に基づくモーメント法のシミュレーションコード開発が遅れたため,計算サーバの購入を見送った。次年度には,計算サーバの購入を予定している。
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Research Products
(8 results)