2013 Fiscal Year Research-status Report
途上国におけるコンファインドメーソンリー建物の耐震性向上
Project/Area Number |
24510257
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助教 (10295165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
野中 嗣子 大分大学, 工学部, 助手 (50274741)
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Keywords | 途上国 / 組積造 |
Research Abstract |
本研究では,通路型開口の存在が枠組組積造壁体の耐震性能に及ぼす影響を把握するとともにその補強方法の提案を行うことにより,途上国における大規模地震災害リスクの軽減に貢献することを目的としている。 本年度は,開口部周辺をRC造の枠材で補強した試験体を2体製作し,一定の鉛直荷重下において繰返しの水平加力実験を行った。試験体はれんが壁体の強度が高い場合を想定し,壁体の目地に比較的強度の高いモルタルを用いた。この実験により得られた結果と,過去の実験結果を用い,通路型開口の存在が枠組組積造壁体の耐震性能に及ぼす影響ならびに鉄筋コンクリート枠材による補強の効果について検討を行った。また,鉄筋コンクリート枠材によるせん断補強効果を表現するため,組積造壁体の斜め圧縮力と鉄筋コンクリート造の縦枠材ならびに横枠材の引張力により構成されるアーチ機構に基づいた強度算定式を適用し,その妥当性について実験結果と比較検討を行った。 以上の研究により得られた結果を以下にまとめて示す。 (1)窓型開口試験体では拘束柱・縦枠に太径の主筋を用いることで変形性能の改善が見られた。しかし,通路型開口試験体では窓型開口試験体ほどではなかった。 (2)プリズム強度が高くなるほど,せん断ひび割れ荷重の実験値,最大荷重実験値ともに線形的に増大した。 (3)本年度の2体の試験体のせん断終局強度は,アーチ機構に基づいた計算値で概ね評価できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目にあたる平成25年度は,鉄筋コンクリート造枠材による補強の効果は補強される側のれんが造壁体の強度にも依存すると考えられることから,その影響を明らかにすることを目的とした。 予定どおり,壁体試験体2体の実験を実施し,既往の実験結果と合わせて比較検討を実施することができた。その結果,通路型開口を有する枠組組積造壁体のせん断強度はれんが壁体の強度に依存するが,その影響は適用した強度算定式により概ね推定できることを明らかにすることができた。あと1年の研究により,一設計法を提案できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで概ね順調に研究が進展しているため,今後も研究計画どおりに進めたい。これまで,れんが壁体の強度の影響について有意義な検討ができたが,途上国では極めて低強度の目地モルタルが使用されることがあり,その場合にも検討している補強法が有効かどうかを明らかにする必要がある。また,これに並行して,鉄筋コンクリート造枠材による補強効果の算定精度の向上のため,数値解析法等を適用し,考案した力学モデルの妥当性を検証したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行のため数値解析ソフト等を導入したいが,翌年度の助成金だけでは不足する可能性が生じた。 翌年度の助成金と合わせて,数値解析ソフト等の導入に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)