2013 Fiscal Year Research-status Report
富山湾沿岸における適応格子法を用いた津波遡上の高精度高速シミュレーションの実現
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24510260
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
古山 彰一 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (90321421)
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Keywords | 津波 / 富山湾 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究テーマでは、「開発フェーズ」「応用フェーズ」「高度化フェーズ」の3フェーズに別けて研究計画を予定しているが、2013年度は主に「応用フェーズ」の検討を行った。 ここで計画していた内容は大きく3つにわけられ、具体的には1.実地形への応用、2.地勢データ挿入、3.津波発生モデル検討、である。 1.実地形への応用については、計算対象領域を富山湾全域とその沿岸地域とした。地形データについては、計画通りに海底部についてはJ-DOSS による500mメッシュ水深データを基本データとして採用した。また海図や独自で採取した水深データも挿入し、オリジナルの水深データと比較して、特に沿岸部ではデータ数を増やすことでより現実的な水深データを生成することを試みた。陸域部については、国土地理院の5m メッシュ標高データを基本データとして利用し、富山湾沿岸域における高精度津波遡上のシミュレーションを行った。これらの成果については、国内外の学会で数件の発表を行った。 2.地勢データについては富山県新湊地区において数千世帯の住宅高調査を行い、このデータを挿入することで、住宅地における津波の遡上エリアの変化についても検討を行った。特に海岸に近いエリアではその違いが明確であった。 3.津波発生モデルの検討については、呉羽山断層帯で地震が起きた場合の海表面の変動を簡易的にシミュレーションに組み込むことで、富山湾全域を対象としたシミュレーションを行った。この計算結果については、2件の国内発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
津波シミュレーションの大まかな部分は現地適用も含めて大まかに計算可能となっている。適応格子法を用いない場合では、CPUの約80倍近い速度で計算することも可能な場面もあり、非常に有効な計算手法であることを示している。しかしながら精度検証の部分が実際の水槽実験の難しさが原因で、なかなかシミュレーションデータと比較できずに苦労している部分である。また、適応格子法のGPU上での高速計算部分であるがGPUの新しいアーキテクチャであるケプラーアーキテクチャを効率的には使えておらず、ここは今後の検討課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は計画書通りに「高度化」を計画している。ここでは開発したソフトウェアを一般公開したり、それらのユーザグループを作成するなどして、ソフトウェアのさらなる高度化を目指すものである。計画ではWebサイトの作成、SNS等での情報開示を検討している。また「現在までの達成度」で問題になった、実験と本数値モデルの精度比較検証については、実験を自ら行う事にはこだわらずに、学術論文等から類似検証結果を引用し、それらと比較することも視野に入れる。また、適応格子法のGPU上での高速計算部分については、ケプラーアーキテクチャのハイパーQやダイナミックパラレリズム等を早急に実装し、効率的な計算を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費について前年度に購入したサーバの拡張を検討していたが、ソフトウェア開発部分の進捗状況により現時点のサーバでも十分検討ができたため、そのサーバ拡張を次年度に見送ることとした。また、共同研究者と水槽実験をするための旅費を確保していたが、研究成果発表に費やす時間が多くなってしまい、該当年度はその分の旅費を使う事が出来なかった。 ・GPGPUデバイスを1台追加する(30万円程度) ・水槽実験用の旅費(の一部)として確保する。
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