2012 Fiscal Year Research-status Report
風化花崗岩地域の表層崩壊発生位置予測精度向上のための表土層深分布推定手法の構築
Project/Area Number |
24510261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
鳥居 宣之 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70294246)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表土層深分布推定 / 簡易貫入試験 / 表層崩壊発生危険度評価 |
Research Abstract |
表層崩壊の発生危険度評価の精度向上のために必要不可欠な情報である表土層深分布を従来手法に比して容易に把握でき,かつ精度の高い手法を確立させることが重要である.表土層は基岩の風化や降雨による侵食・堆積作用を受けた結果として,現在の表土層深分布を呈しているもの考えられる.よって,本研究では,表土層形成過程における表面流による表土の侵食・堆積作用と基岩の風化作用を考慮するため,表土の移動から形成される層と基岩の風化から形成される層を区別し,それぞれの土層深を推定することで,潜在崩土となり得る表土層深を推定する手法を構築することが最終目的である.初年度である平成24年度には,以下の研究を遂行した. 科研費で購入したSH型簡易貫入試験と従来型簡易貫入試験との測定結果に差異があるか否かを検証した結果,表土層深の実測値にはほとんど差異が無いこと,従来型に比して作業効率が高いこと,人為ミスによる測定誤差が起こりにくいなどが確認された. 表土移動層の土層深を推定するためのモデルとして,表面流による表土層の侵食・堆積評価モデル(表面流による表土の移動過程を表すモデルとして,マニングの式と連続の式に基づいて表面流の水深を求める表面流出モデルと表面流による掃流力と表土の粘着力を考慮することで表土の浸食・堆積過程を表現する表土移動評価モデル)の検討を行った. 表土層内に複数の潜在すべり面(樹木根系の進入している土層位置に相当)が存在している場合にも表層崩壊型の発生危険度評価ができる手法として多平面安定解析手法(沖村:1982)を改良した二層型多平面安定解析手法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表土層の侵食・堆積評価モデルについては構築できたが,基岩の風化に伴う表土層深形成モデルの構築には至っていないので,早急にモデルを構築する必要がある. その反面,表層崩壊型の発生危険度評価手法として二層型多平面安定解析手法を構築することができたので,表土層深分布推定手法によって推定された表土層深を活用した精度の高い安定性評価を行うことができるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
基岩の風化に伴う表土層深形成モデルの構築を行い,表土層の侵食・堆積評価モデルと合わせることで侵食・堆積ならびに風化を考慮した表土層形成指標を算出する.また,算出された表土層形成指標を空間統計学的手法(クリギング法など)と組み合わせることにより,広域を対象とした表土層深分布推定手法を構築する.さらに,構築した表土層深分布推定モデルを用いて,表土層深分布を推定し,実測表土層深分布との比較・検討を行うことで,表土層深分布推定手法を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査のための調査費(消耗品,旅費),研究成果発表のための旅費,研究補助のための人件費
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