2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510262
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
鳥田 宏行 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50414264)
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Keywords | 津波 / 限界流速 / 森林被害 / 根返り / 幹折れ / 形状比 / シミュレーション |
Research Abstract |
津波における立木の抵抗性を評価するため,昨年度構築した限界流速(幹折れまたは根返りが発生するときの流速)計算モデルを改良し,実際に津波により被害を受けたクロマツ海岸林において,シミュレーションをおこなった。その結果,モデルにより限界流速の値が小さな立木において,実際に津波の際に根返り・幹折れなどの被害が発生しており,本モデルにより計算された限界流速が立木の津波抵抗性の指標となりうることが示された。シミュレーションの結果では,立木の被害形態は根返りが約75%,幹折れが17%,根返りおよび幹折れの両方が発生する可能性のあるケース9%となったが,実際の被害においても被害立木の86%が根返りであり,定性的な一致を得た。限界流速と浸水高(津波の高さから,地盤高を差し引いた値)の関係では,浸水高が増すと限界流速は低下し,枝下高を浸水高が超えると,さらに限界流速の減少率が高くなることが示された。現地の津波高8.5mに対するシミュレーションでは,樹冠に津波が達した(浸水高が枝下高よりも高くなったケース)立木は,限界流速が相対的に低かったことが示され,枝下高の高さが限界流速に対して影響する結果となった。立木の強風被害等においては,(形状比樹高/胸高直径)の値が小さい立木が強風に対する抵抗性が高い立木とされているが,津波に対しては,形状比(樹高/胸高直径)と限界流速の関係においては,明確な関係性がみられず,単純に形状比によって,立木の津波抵抗性を評価できないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画的に研究が進展し,当該年度に実施した研究についての投稿論文が掲載予定である。また,学会発表を行い,他の研究者との情報交換も実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き計画通りに実施するが,研究全体の総括を視野に入れ,論文等の作成にも力を入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の学会発表について,悪天候等による出張計画の変更に備えるため。 今年度は,悪天候などの不確定要素を含む出張は回避して,計画通りに実施する。
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Research Products
(1 results)