2013 Fiscal Year Research-status Report
インドシナ半島の豪雨に赤道域季節内変動が影響を及ぼすメカニズムの解明
Project/Area Number |
24510264
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伍 培明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (00360751)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福富 慶樹 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (30392963)
|
Keywords | 豪雨 / 赤道域季節内変動 / インドシナ半島 / アジアモンスーン |
Research Abstract |
本年度は赤道域季節内変動(MJO)の変動がこの地域の豪雨に対する影響を中心に研究を行った。JRA-25/JCDAS再解析データより、インドシナ半島域で豪雨が発生した期間を含めた2008年10月~11月と、2010年10月~11月のエネルギー収支解析を行った。MJOの通過に伴う背景風速場の東西風変動が西進擾乱の強度を強め、MJOの通過が擾乱の発達・維持、豪雨発生に大きな役割を果たしていることが示唆された。 1. 赤道域季節内変動(MJO)の変動の解析を行った。2010年9月下旬にインド洋では対流活動が活発となり、10月前半にかけてMJOに伴う対流活発域がインド洋からインドネシアを東進し、10月末に西部太平洋へと到達した。MJOの通過に伴う背景風速場の変動が西進擾乱の強度を強め、それにより中部ベトナムに豪雨がもたらされたことが示唆された。 2. 赤道域季節内変動(MJO)が大気循環場に対する影響の解析を行った。中部ベトナムで豪雨発生時、MJOに伴う対流活発域は西部太平洋にあった。南シナ海(0~12N)で強い西風が観測され、東西風風速東西方向のシアは小さくなり、南北方向に東西風風速の強いシアが形成された。その結果、西進擾乱と一般場との順圧相互作用により擾乱が発達し、数日間持続する豪雨がもたらされた。エネルギー収支解析の結果から、豪雨発生期間中擾乱の運動エネルギーの供給源としては、基本場からの変換が非断熱加熱とほぼ同程度で、西進擾乱の発達・維持に基本場からエネルギーの変換が大きな役割を果たしていることが見出された。ベトナムにの集中豪雨発生に赤道域季節内変動(MJO)大きな役割を果たしていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では現地の地上、高層気象観測、衛星観測及び気象庁長期再解析データ(JRA25)を用い、MJOと低緯度で発生する熱帯擾乱、中緯度のアジアモンスーンの変動との相互作用に着眼し、赤道域季節内変動がインドシナ半島で集中豪雨の発生に果たす役割を明らかにすると共に、豪雨発生のメカニズムを解明することが本研究の目的である。 本年度は気象庁長期再解析データJRA-25/JCDASを用い、ベトナムにの集中豪雨発生に赤道域季節内変動(MJO)の変動の解析、エネルギー収支解析を行った、MJOの変動がこの地域の豪雨に対する影響の研究を行った。MJOの通過に伴う背景風速場の東西風変動が西進擾乱の強度を強め、MJOの通過が擾乱の発達・維持を通して、豪雨発生に大きな役割を果たしていることが示唆された。日本気象学会の大会などで研究成果の発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度から行っている、赤道域季節内変動(MJO)の変動がインドシナ半島の豪雨に対する影響を中心に気象庁長期再解析データJRA-25/JCDASを用いて研究を行い、日本気象学会の大会などで研究成果の発表を行い、論文執筆をする。 1. 赤道域季節内変動(MJO)が大気循環場に対する影響の解析 (担当: 伍、福富) 200hPa、850hPa流線関数および風平年偏差を算出し、MJOが大気循環に対する影響を詳しく調べ、この地域豪雨の発生にMJOが果たしている役割を明らかにする。データの解析期間: (豪雨が発生した)2008年10月~11月。2010年10月~11月。 2.インドシナ半島東岸域の極端豪雨の最近の増加傾向と熱帯擾乱、赤道域季節内変動(MJO)活動の解析(担当: 福富、伍) ベトナム沿岸観測点降水量データから豪雨発生頻度の50 年間の長期変動を調べ、インドシナ半島東岸域の極端豪雨の最近の変動傾向を調べると共に、沿岸域で強い対流活動を伴い豪雨を引き起こすような熱帯擾乱の発達が赤道域季節内変動(MJO)活動との関連性を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用金(1,119,789円)はベトナム、タイなどに出張してデータを収集する予定だったが、2013年8月にベトナムと、2014年1月にタイ国際学会参加などの出張時にデータを入手できたため。 次年度使用金の使用:1.現地データ収集旅費 600千円;2.学会参加旅費 500千円; 3.論文投稿料 100千円
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Presentation] MJOと赤道越え冬季アジアモンスーンによるジャカルタ豪雨
Author(s)
Wu Peiming, Mori Shuichi, Hattori Miki, Yamanaka Manabu, Matsumoto Jun, Arbain Ardhi Adhary, Syamsudin Fadli, Hamada Junichi
Organizer
日本気象学会2013年度春季大会
Place of Presentation
東京(国立オリンピック記念青少年総合センター)
-
-
-
-
-