2014 Fiscal Year Research-status Report
インドシナ半島の豪雨に赤道域季節内変動が影響を及ぼすメカニズムの解明
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24510264
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伍 培明 独立行政法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任研究員 (00360751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福富 慶樹 独立行政法人海洋研究開発機構, シームレス環境予測研究分野, 特任研究員 (30392963)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 豪雨 / 赤道域季節内変動 / インドシナ半島 / アジアモンスーン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は赤道域季節内変動(MJO)のインドシナ半島の豪雨に対する影響を中心に研究を行った。降水量観測データから豪雨発生頻度の長期変動を調べ、気象庁長期再解析データJRA-55/JCDASを用いて研究を行い、極端豪雨の最近の増加傾向と熱帯擾乱、MJOとの関連を調べ、MJOの通過が最近の増加傾向に大きな役割を大きく影響していることが示唆された。 1. インドシナ半島東岸域のベトナムや、中国海南島で豪雨が発生した2008年10月、2010年10月における大気循環場を調べた。JRA-55/JCDAS再解析データより、豪雨時のエネルギー収支解析を行った。豪雨発生期間中擾乱の運動エネルギーの供給源としては、基本場からの変換が非断熱加熱とほぼ同程度で、西進擾乱の発達・維持に基本場からエネルギーの変換が大きな役割を果たしていることが見出された。MJOの通過に伴う背景風速場の東西風変動が西進擾乱の強度を強め、MJOの通過が擾乱の発達・維持、豪雨発生に大きな役割を果たしていることが示唆された。 2.ベトナム域での南シナ海に面した沿岸観測点降水量データから豪雨発生頻度の長期変動を調べた結果、インドシナ半島東岸域の豪雨発生頻度の最近の増加傾向がみられた。これらの豪雨は数日間局所的に持続するが、台風によるものでなく、熱帯総観規模擾乱が西太平洋から西北進しながら発達し接岸したことが引き起こした。この非台風豪雨イベントの主原因は熱帯総観規模の通過であり、沿岸域での強い対流活動を伴う擾乱の発達が選択的に起こる原因はMJOの通過や中緯度擾乱の影響等の環境場の状態と擾乱通過のタイミングが関係していると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では現地の地上、高層気象観測、衛星観測及び気象庁長期再解析データ(JRA55)を用い、MJOと低緯度で発生する熱帯擾乱、中緯度のアジアモンスーンの変動との相互作用に着眼し、赤道域季節内変動がインドシナ半島で集中豪雨の発生に果たす役割を明らかにすると共に、豪雨発生のメカニズムを解明することが目的である。本年度は気象庁長期再解析データJRA-55/JCDASを用い、ベトナムなどで集中豪雨発生時の大気循環場を調べ、MJOの通過に伴う背景風速場の東西風変動が西進熱帯擾乱の強度を強め、MJOの通過が擾乱の発達・維持、豪雨発生に大きな役割を果たしていることが示唆された。また、降水量観測データからインドシナ半島東岸域の豪雨発生頻度の最近の増加傾向がみられた。豪雨イベントの発生は熱帯総観規模擾乱によるものが多く見られ、沿岸域での強い対流活動を伴う擾乱の発達はMJOの通過や中緯度擾乱の影響等の環境場の状態と擾乱通過のタイミングが関係していると示唆された。それらの研究結果を日本気象学会の大会などで研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでインドシナ半島で豪雨の発生、最近豪雨の増加傾向に、赤道域季節内振動(MJO)の通過が大きな役割を大きく影響していることが示唆された。当初の計画では雨季の豪雨事例(ベトナム、タイ中部・北部)を研究対象としたが、2011年3月にタイ南部で乾季であるにもかからわず、未曾有の豪雨が発生し、赤道域季節内振動(MJO)に伴う対流活動が活発であった。今後、新たにタイ南部の降雨観測データなどを収集して解析を行うと共に、MJO活動の発生状況を調べ、乾季豪雨の発生におけるMJOの役割を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
平成25および26年度にベトナム、タイにおいて降雨観測データを収集し、解析を行う予定であったが、他課題での観測出張や国際学会参加時にデータを入手出来たため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、現地データ収集旅費(300千円)、学会参加旅費等 (381千円)および計算機関係消耗品(100千円)に充てる。
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Research Products
(7 results)