2013 Fiscal Year Research-status Report
急性骨髄性白血病の増殖制御に関わる新規非コードRNAの機能の解明
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24510277
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平野 哲男 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (50228805)
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Keywords | 骨髄性白血病 / 非コード性RNA / 受容体型チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
骨髄性白血病細胞K562で強く発現しているCCDC26遺伝子のsiRNAによるノックダウンをGeneEraser ショートヘアピンRNAベクター (Stratagene) を用いて行った。その結果、CCDC26遺伝子の発現が安定して1%以下に抑えられたクローンが4株単離できた。CCDC26遺伝子のノックダウンに伴い、そのイントロン内で活発に発現している転写物、および、周辺遺伝子が転写抑制を受けていることが観察され、この遺伝子が自身の遺伝子座全体の遺伝子制御に関わっている可能性が示唆された。これらのすべてのクローンの増殖速度は、親株あるいはベクターのみで形質転換した対照細胞に比べ、顕著に下がっていることが観察された。一方、0.5%以下の低血清条件下でこれらのクローンを培養するとすべてのクローンが対照と同程度、あるいは対照よりも早く増殖し、対照細胞が死滅する7日間培養後も多くが生き残っていた。したがって、CCDC26ノックダウン株は、血清反応性の低下と同時に、低血清のストレスに対する抵抗性が増強していると考えられる。Geneチップを用いたDNAマイクロアレイによる遺伝子発現プロフィールの解析の結果、急性骨髄性白血病で機能亢進変異の見られる膜結合受容体型チロシンキナーゼのc-kitの発現がすべてのクローンで5-12倍増強していることがわかった。この結果から、これまでまったく機能が不明であった非コード性RNA遺伝子CCDC26がc-kit遺伝子を制御を通じ、骨髄性白血病の性状に関わっている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の研究計画に記載されている、CCDC26遺伝子転写物と相互作用するタンパク質の同定は、現在のところ進んでいない。これは、海外の研究チームがCCDC26転写物による実験を行い、この遺伝子に特異的に相互作用するタンパク質を同定するに至らなかったという情報を非公式に入手し、ほぼ同じ内容の実験を遂行するよりも、CCDC26遺伝子ノックダウン実験に集中することとしたためである。この判断は良い結果を生み、これまで全く不明であったCCDC26遺伝子の機能として、c-kitの制御に関わる可能性が示された。これはCCDC26遺伝子の骨髄性白血病における役割を解明する目的において非常に大きな成果と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
単離できたCCDC26遺伝子ノックダウン白血病細胞株の解析を更に進める。細胞周期解析、またマウスへの異種移植実験などによって、これらの細胞のがん細胞としての性質を評価し、この遺伝子の機能について情報を得たいと考えている。この段階でいったん、適当な論文としてまとめる予定である。
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