2013 Fiscal Year Research-status Report
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24510282
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中屋敷 徹 神戸大学, 農学研究科, 学術研究員 (80536699)
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Keywords | Keio collection / アミノグリコシド / 膜電位 / 活性酸素 |
Research Abstract |
大腸菌一遺伝子欠失ライブラリーKeio collectionを用いたストレプトマイシン感受性株の解析を行った。ストレプトマイシンを含むアミノグリコシドは活性酸素の発生を介した細胞死を引き起こすとされている。 得られた26株では、ATP合成酵素のサブユニットが5つ、リポ多糖の合成に関わるものが8つとかなりの遺伝子濃縮が見られた。さらにATP合成や活性酸素の発生に関わる膜電位を調べたところ、リポ多糖の合成に関わる変異体やその他外膜の透過性に関わると思われる変異体で高い膜電位を有していることがわかった。これらの変異体は外膜の透過性が上昇しており、また野生型でも低浸透圧ストレスをかけると膜電位が上昇することがわかった。この結果から膜電位の上昇は外膜の透過性と密接に関わることが明らかになった。 高い膜電位は、一つにはTolCを中心とした有害物質の排出機構の動力源となり、このエネルギー源となることがわかった。また高い膜電子は外界との電位差を生み出し、このことによって外膜ポリンのゲートを閉める方向に働くことを示唆する結果が得られた。これはVoltage-dependent gatingと呼ばれる現象でミトコンドリアのポリンや一部の大腸菌のポリンでもその性質が確認されている。このことから、外膜の透過性に関わるストレスが大腸菌にかかったとき、膜電位を上げることは合理的なストレス応答であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画からは予想外の結果が得られ、現在論文を執筆中である。またアミノグリコシドがどのようにして細胞死をもたらすのかという観点からも非常に興味深い結果と言える。当初の計画よりより深い分子メカニズムの解明につながる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、透過性のストレスによる膜電位の上昇が如何に細胞死と結び付いているかというところが問題となる。この部分の解析も続けている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表を予定していたが、スケジュールの都合が付かず、計画していた旅費が残った。 論文の校正費用と学会旅費に使用する。
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