2012 Fiscal Year Research-status Report
宿主自然免疫ゲノム情報の発現調節研究によるウイルス感染症の制御
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24510283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木村 富紀 立命館大学, 薬学部, 教授 (40186325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70115947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機能性RNA / 制御性RNA / 非コードRNA / lncRNA |
Research Abstract |
1. モルモット(gp)IFN-α1アンチセンスRNA (AS)機能ドメインのマッピング RNA二次構造予測ソフトmFoldを用いて得たgpIFN-α1 mRNAの二次構造候補に共通するステムループ構造を選択した。ヒトIFN-α1 ASによるmRNA認識部位を決定した方法にならい、この共通ステムループ構造中の一本鎖領域塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド:S2-S6をデザインした。これらのうち、gpIFN-α1 ASの構成的発現を抑制したS2, S4, S6をヒトインフルエンザウイルスA/PR/8/34感染細胞に導入したところ、S6導入細胞においてのみgpIFN-α1 mRNA発現の低下が観察された。以上の結果から、同mRNA上にgpIFN-α1 ASが認識する部位が決定され、ASによるgpIFN-α1 mRNAの安定化効果が予想された。 2. DDSの構築(平成25年度実施予定計画) マウス骨髄から誘導した未成熟樹状細胞が産生するExosomeをモルモット気道へ投与したところ、急性GvHDの発症は観察されなかった。しかし、マウス1匹あたり回収できるCD11c陽性細胞は約5 x 10の6乗に過ぎず、しかも非DC細胞の混入を40-50%認めたので、ExosomeをDDSとして評価するに足る量をマウス骨髄法で得るのは困難と判断した。そこで、共同研究をするホソカワミクロン株式会社が薬物担持用に開発した乳酸とグリコール酸共重合体からなるPLGAナノ粒子を代わりに検討した。ヒトIFN-α1 mRNA発現増大効率を指標に、同粒子の核酸導入キャリアー機能を検証したところ、市販の遺伝子導入試薬と同等か、それ以上の導入効率が得られた。この結果から、Exosomeに代えPLGAナノ粒子をDDS候補として、今後検討することにした。 3. ヒトIFN-α1 ASの機能解析結果をまとめ、論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度実施研究計画の達成度評価: モルモット(gp)IFN-α1アンチセンスRNA (AS)機能ドメインのマッピング 予想したmRNA二次構造に基づきデザインしたセンスオリゴヌクレオチド群から、gpIFN-α1 ASの発現を抑制するS6を得た結果、同ASのgpIFN-α1 mRNA安定化効果を証明できたのは計画通りであった。ただ、S6に対応するアンチセンスリボオリゴヌクレオチド (ASORN)の過剰発現実験とgpIFN-α1 AS短縮変異体発現プラスミドによる機能ドメインマッピングが未達成な点は、マイナス評価であった。 前倒しで実施した平成25年度実施計画の達成度評価: DDSの構築 予定していたマウス骨髄由来のExosomeは、実用量を準備することができず、DDSとしての評価を中止した。代えて、PLGAナノ粒子を検討し、その核酸導入キャリアー機能を検証できたのは予想以上の進展であった。 論文発表について ヒトIFN-α1 mRNAを安定・増大するASと、この安定化機能に関わる塩基配列を持つASORNは全長のASと同程度にmRNA発現を転写後性に増加する実験結果をまとめ、CMLS 70 (8):1451, 2013に発表した。本論文は、このASORNの抗ウイルス効果を検証可能なモルモットインフルエンザ感染モデル構築のための理論的根拠となるものであり、発表が待たれていた。なお、本論文は、Global Medical Discovery siteに1月15日付けで紹介された(http://globalmedicaldiscovery.com/key-scientific-articles/stabilization-of-human-interferon-alpha1-mrna-by-its-antisense-rna/)。
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Strategy for Future Research Activity |
1. gpIFN-α1アンチセンスRNA (AS)機能ドメインのマッピング 前年度の研究によりASがgpIFN-α1 mRNA上に認識する部位として決定したS6の塩基配列に対応するアンチセンスオリゴヌクレオチド (ASORN)を、ヒトインフルエンザウイルスA/PR/8/34 (PR8ウイルス)感染モルモット胎児線維芽細胞 (104C1)に導入し、IFN-α1 mRNA発現レベルの増加効果を確認する。次いで、gpIFN-α1 AS発現プラスミドをPR8ウイルス感染104C1細胞に導入し、ASORNの場合と同様なIFN-α1 mRNA発現レベルの増加効果を確認する。続いて、このASの各種短縮変異体の過剰発現実験を行い、AS上にgpIFN-α1 mRNA安定化・発現増大ドメインを求め、これ迄に決定したASORNとの一致を確認する。 2. 培養細胞を用いたPLGAナノ粒子によるASORN導入効率の至適化 前年度の研究により、核酸導入キャリアー機能を確認したPLGAナノ粒子に1.で求めたASORNを封入し、PR8ウイルス感染104C1細胞に導入する。IFN-α1 mRNA安定化効果を鎖特異的RT-PCR法による発現レベル量の変動測定により判定する。この結果を、市販の遺伝子導入試薬を用いた結果と比較・検討し、従来法に比し最大増大を認めたASORN封入条件を、モルモット気道投与実験に用いるものとする。充分な増大度が得られない場合には、キトサン修飾マンニトール添加量を調整し、PLGA粒子へのASORNの担持効率の改良を図り、この粒子を再検定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の経費執行はほぼ計画通りであったが、効率的に物品購入を行った結果、端数として残額262円が生じた。この残額は2013年度年度予算に繰り越し、上記「今後の研究の推進方策」に述べた研究課題に関する実験に使用する計画である。
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Research Products
(11 results)