2013 Fiscal Year Research-status Report
宿主自然免疫ゲノム情報の発現調節研究によるウイルス感染症の制御
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24510283
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木村 富紀 立命館大学, 薬学部, 教授 (40186325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70115947)
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Keywords | 機能性RNA / 制御性RNA / 非コードRNA / lncRNA / NAT / ceRNA |
Research Abstract |
1. モルモット(gp)IFN-α1アンチセンスRNA (AS)機能ドメインのマッピング:gpIFN-α1 mRNAの二次構造候補に共通するステムループ構造中の一本鎖領域塩基配列から作製したセンスオリゴヌクレオチド:S2-S6の検討を、ヒトインフルエンザウイルスA/PR/8/34感染モルモット胎児繊維芽細胞104C1を用いて継続した。その結果、昨年報告したS6に加えS4も、gpIFN-α1 ASを介し同mRNAを安定化することが分かった。加えて、AS RNAの構成的発現には影響しないS3によるgpIFN-α1 mRNAの発現増大効果を見出し、これはAS分解性のmiRやタンパク質の作用阻害によると解釈した。続いて、このS4とS3塩基配列に対応するアンチセンスリボオリゴヌクレオチド:asRS4, asRS3を上述の104C1細胞に導入し、そのgpIFN-α1 mRNAの発現増大効果を確認した。 2. PLGAナノ粒子によるDDSの構築:そこで、gpIFN-α1 mRNAの発現増大効果が上回るasRS3を作年報告したDDS候補のPLGAに封入し、そのgpIFN-α1 mRNAの発現増大効果を市販の遺伝子導入試薬と比較した。ナノ粒子径、asRS3含有率、粒子表面荷電度等を指標に検討し、対照の遺伝子導入試薬を上回るgpIFN-α1 mRNAの発現増大効果を示す至適の粒子作製、asRS3封入条件を決定した。 3. ヒトIFN-α1 ASによる同mRNA安定化の分子メカニズムの検討:IFN-α1に加え、他のIFN-αファミリー由来のASが、ceRNAとしてmiR-1270を阻害することにより、IFN-α1 mRNAを安定化することを明らかにした(投稿準備中)。 4. IL-1β刺激によりラット肝細胞よりTNF-αが産生され、そのAS RNAはTNF-α mRNAを不安定化することを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施研究計画の達成度評価: 1. gpIFN-α1 AS RNA機能ドメインのマッピング: gp IFN-α1 mRNAの予想二次構造から作製したセンスオリゴヌクレオチドS2-S6の機能解析を終え、mRNA上にAS RNAの認識部位S4, S6を特定した。さらには、この部位を認識するgpIFN-α1 AS RNA上の塩基配列から作製したasRS4の導入により、同mRNAの発現増大が再現され、AS RNA上にgpIFN-α1 mRNA安定化ドメインを決定した。興味深いことに、S3に対応するasRS3により、gpIFN-α1 mRNAのみならず、同AS RNAの発現増大も観察され、gpIFN-α1 AS RNAには、mRNAを直接安定化するasRS4ドメインに加え、miR等のAS RNA分解性因子を吸着することでmRNAを増大させるceRNA様ドメインがあることが明らかになった。これらの結果から、昨年度未達成の研究目標は今年度達成した。 2. DDSの構築:このasRS3を用いて、DDS候補PLGAナノ粒子の最適化を行い、当初計画通り、市販の遺伝子導入試薬を上回るgpIFN-α1 mRNA発現増大効果を培養細胞レベルで確定した。この結果から、DDSは研究計画申請時に予定したExosomeからPLGA粒子に切り替え、生体への投入実験に進むこととした。 3. 論文発表について:ヒトIFN-α1 ASのmRNA安定化分子メカニズムとして、IFN-α1のみならず、他のIFN-αファミリーメンバーのAS RNAと協調してネットワークを形成し、miR-1270を抑制することを見出した。新たなceRNetとして報告を準備している。その他、Hepatology Research 44(5):571-83, 2014に、TNF-α AS RNAのmRNA発現制御機能を報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
モルモットモデルにおける投与asRSの抗インフルエンザウイルス活性の検証:上記PLGAナノ粒子に封入したasRS3を経鼻投与したモルモットに、インフルエンザウイルスA/PR/8/34を感染させる。気道組織に誘導されるIFN-α1 mRNAと鼻汁中のIFN-α1タンパク質の経時的な発現量の変動を、投与後の所定の期間、対照asRS投与群と比較し、asRS3投与によるmRNAとタンパク質の発現量の早期の増加が、鼻汁や気道、気管から分離されるウイルス力価に及ぼす効果を検定し、asRSによる自然免疫制御効果を生体中に検証するProof of concept実験とする。さらには、asRS3の1回あたりの投与量、投与回数・間隔、ウイルス感染に対応する投与時期を検討し、asRS3の抗ウイルス効果の至適化を図るとともに、ヒトIFN-αタンパク質投与群との副作用発現に関わる優位性試験を実施する。動物実験は、感染動物実験施設を有し、木村が客員教授を務める滋賀医科大学動物生命科学研究センターで実施する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Interleukin-1β induces tumor necrosis factor-α secretion from rat hepatocytes2014
Author(s)
Yoshigai, E., Hara, T., Inaba,H., Hashimoto, I., Tanaka, Y., Kaibori, M., Kimura, T., Okumura, T., Kwon, A-H., and Nishizawa, M.
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Journal Title
Hepatology Research
Volume: 44
Pages: 571-583
DOI
Peer Reviewed
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