2012 Fiscal Year Research-status Report
有糸分裂阻害天然物ニグリカノシド類とその多様な人工類縁体の合成研究
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24510289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 憲秀 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20222268)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有糸分裂阻害剤 / ニグリカノシド / 人工類縁体 / 有機合成化学 / グリセロ糖脂質 |
Research Abstract |
緑藻由来のガラクトシルグリセロ脂質のニグリカノシド類は、強力な有糸分裂阻害活性と新規で特異なエーテルクロスリンク構造を持つため、薬剤耐性を克服しうる新たな抗癌剤のリードとして強く期待される。一方、これらは緑藻からの産生量が低く物質供給に難があり、立体化学も未解明のため、詳細な生物活性の研究が停滞している。申請者は、独自に立体選択的な鎖状エーテル構築法を開発しているため、これを適用した上記の「供給と立体化学」の課題の解決を企図した。具体的に次の4点を目的としている。(1)合成化学的にニグリカノシド類の絶対配置を決定する。(2)同時に、天然型立体配置のニグリカノシド類の全合成を行う。(3)さらに、その合成法を最適化し、物質供給に適した効率的全合成経路を確立する。(4)ニグリカノシド類の立体異性体および糖部の変換体を合成してライブラリーを構築し、有糸分裂阻害・癌細胞成長抑制活性における構造活性相関の究明に役立てる。 平成24年度は、ニグリカノシドAジメチルエステルを対象として、合成化学的な絶対配置の決定を検討した[目的(1)と(2)]。具体的には、ガラクトース部とC8'位およびC2'''位について、その相対立体関係を調査した。該当部分構造を立体選択的に合成し、天然物とNMRスペクトルを比較して立体化学を判断する手法を採った。既にガラクトースのC6''位とC8'位間のエーテル結合部の構築法を確立し、D-ガラクトース・2'''R・8'R配置および同8'S配置の部分構造の合成を完了していたが、今年度はD-ガラクトース・2'''S・8'R配置および同8'S配置の部分構造の合成を進め、必要な立体化学と炭素鎖長を揃えた。また、C10-O-C11'のエーテルクロスリンク部の構築法を検討し、リチウムエノラートによるEvans型アルドール反応が立体制御合成に適していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ガラクトース部とC20脂肪酸鎖部のエーテル連結部分(C8')の相対立体化学に加え、グリセロール部のC2'''位の立体化学の確認に向けた合成を行い、ほぼ終盤まで行うことが出来た。生物由来のガラクトグリセロールのC2'''位の立体化学は既知であるが、イレギュラーの可能性を否定するために、当初の計画外であるが、行った。平成25年度の初めには、天然物のガラクトース部とC8'およびC2'''の相対関係が確定する見込みである。 また、C20脂肪酸鎖とC16脂肪酸鎖のエーテル結合部分の構築法については、計画通りに検討が進行し、Evans不斉アルキル化の変法による立体選択的構築法を開発できた。また、付随して2つの脂肪酸鎖の全長骨格の構築法を開拓している。 一方、全合成に不可欠な2つのエーテル結合部の隣接位および遠隔位に存在する水酸基の導入については、現在検討を開始したばかりである。しかし、当初より全合成と絶対配置決定は25年度までの達成計画であったため、研究の進度については概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続きニグリカノシドAジメチルエステルの全合成と絶対配置決定を検討する。その達成後、全合成経路の最適化を図り、天然型絶対立体配置の短段階効率的合成経路の確立を行う。また、研究途上で生じるニグリカノシド類の立体異性体やモデル化合物を利用して、および糖部や脂肪酸鎖を人工的に改変した類縁体を多数合成して、化合物ライブラリーを構築する。 また、最初の全合成で検討した合成経路をもとに、その合成で低収率となった反応段階、および段階数が多く非効率な部分合成プロセスを見直し、合成経路の最適化を検討する。低収率段階の排除と合成段階数の低減が目的となる。これにより、少ない労力で多量のニグリカノシドAジメチルエステルを得て、生物活性試験に供することが可能となる。 平成26年度は、前年度に引き続きニグリカノシド類の全合成経路の最適化を図り、人工的に改変した類縁体を多数合成して化合物ライブラリーの範囲を拡大する。そして、そのライブラリーを用いて適切な共同研究者とともに有糸分裂阻害・癌細胞成長抑制活性における構造的・立体化学的要因を探索し、活性発現最小構造単位を究明に繋げたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の経費の節減の結果生じた使用残については、少額(千円未満)なため次年度の消耗品費と合わせて試薬(消耗品)の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)