2012 Fiscal Year Research-status Report
医療応用を目指した糖鎖プローブの次世代型合成法の開発
Project/Area Number |
24510297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山口 真範 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20400129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖工学 / シアロ糖鎖 / 酵素合成 |
Research Abstract |
糖鎖は細胞間の認識、情報伝達、分化、増殖、免疫応答など我々が生命を維持していく上で必須の生命現象を司っている。その中で、糖鎖の末端にシアル酸という糖が付加されたものをシアロ糖鎖といい、免疫応答やガン化などに深く関わっている。これらの糖は免疫機構やガンの発症・転移のメカニズムを知る上で必須である。本研究では、これらの糖鎖アナログと医療応用を目指した糖鎖プローブを簡便に合成する技術の開発を行う。そしてこれらの糖鎖を用いて、糖鎖型医薬品の開発、モノクローナル抗体の作成、糖鎖型ガンワクチンの創出、ガンの分子イメージング技術への応用を行い、生化学・薬学・医学研究の進展に大きく貢献することを目標とする。 本年度においては、その合成に必要となる糖鎖合成カラムの作製と、それらを用いたガン関連シアロ糖鎖のうち構造が比較的単純な糖鎖の合成を試み、達成した。糖鎖合成カラムとしては、当初目標とした、シアリル化用、ガラクトシル化用のカラムの作製に成功し簡便合成法の糸口をつかんだ。その際、合成の至適条件を明らかにするため、基質濃度、pH、反応時間、温度の4つのファクターをふり合わせ膨大な検討を行い、目的糖鎖の収率の上昇に努めた。 このことにより、従来法では使い捨てとされていた試薬のリサイクルを可能とし、更に合成の至適条件が確立するとその糖鎖合成はルーチン化が容易であり、結果、効率的合成法の確立に大きく前進した。 更に単糖レベルのガン関連糖鎖においては、そのプローブ化も成功し、その合成に所要するコストや時間を従来の合成方法と比較すると大幅に減じることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シアリル化用、ガラクトシル化用カラムを作成することに成功し、実際それらを用いて本年度合成目標としたガン関連糖鎖抗原である三種の糖鎖合成の糸口をつかんだ。 またその方法論は国際特許出願、国内特許出願に至り、ひとつの合成メソッドを確立できた。 当初目標とした段階をおおむねクリアしており区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における鍵ステップとなる位置選択的シアリル化の条件を確立することを目指す。目的化合物である2,6ST抗原やGlycophorinの合成において、糖鎖ブロックを構築していく際にどの段階でのシアリル化が最適であるのかを明らかにし、効率的合成ルートの確立を目指す。 また前年度までに合成を達成しているガン関連糖鎖抗原においては、脂質等を順次導入し糖鎖プローブへと合成を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発注した試薬が想定額よりも小額であるが(28円)安く納入されたため残額が発生した。次年度、研究試薬購入などへ有効に利用する。
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