2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝類洞内皮細胞および癌細胞由来リンパ球制御物質の探索
Project/Area Number |
24510300
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
狩野 有宏 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30403950)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 腫瘍 / 免疫 / IFN-γ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は特に乳がん細胞4T1が分泌する免疫抑制性因子の単離、同定に注力した。イオン交換とゲル濾過クロマトグラフィーに加え、種々のカラムでの検討も行ったが、単離には至らなかった。飛行時間質量分析計(TOF-MS)を使用してSDS-PAGE後のゲル抽出からタンパク質の同定を試みたが、活性因子の同定には至っていない。恐らくは分泌量が少なく、検出、同定に十分な量が回収できていないためと考えている。既報の論文等を参考に、予想される因子の検証も実施した。GM-CSFはインプットしたリコンビナントが活性を示さなかった。G-CSFはリコンビナントが活性を示し、ウェスタンブロッティングにて実際に分泌されていることを確認した。しかし精製過程の分画物に、G-CSFではないより強い活性分画があることが判明した。これらのことから最も疑われたGM-CSF、G-CSFの関与は、少なくとも独自開発したアッセイシステムで見いだされる活性因子としては否定された。この他に、昨年度の部分精製物のプロテインアレイ解析で上位に検出された因子も、リコンビナントによる検証で否定されている。これに加え、4T1担がんマウスにおける腫瘍の進行と脾細胞及びIFN-γ産生を解析し、原著論文として報告した。上記成果はがんと免疫に関わる未知因子の発見につながる重要な成果であるが、もう一歩のところで同定に至らず、大変残念な思いである。本申請書では腫瘍細胞に加え、初代培養細胞となる肝類洞内皮細胞由来因子の探索も想定していたが、上記のより喫緊と考えられた課題を優先し、結果、研究コンセプトの妥当性を確認する段階で終了した。このことは申請段階から想定済であった。また他の腫瘍細胞CT26由来因子は昨年度のLC-MS解析の結果を踏まえ、本年度後半加わった国費留学生と共に取り組んだが、精製過程の再現性確認、最適化で終了となった。
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