2013 Fiscal Year Research-status Report
生合成経路を活用するステロイド類の効率的合成法の開発
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24510305
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
庄司 満 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (30339139)
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Keywords | ステロイド / ドミノ環化 / 化学合成 |
Research Abstract |
ステロイド類は自然界に広範に存在し、生物活性が多彩で、生体の制御に重要な役割を担っている。これらは、6-6-6-5員環が縮環した四環性骨格を基本構造とし、多様な官能基と多くの不斉炭素を有し、合成化学的にも非常に興味深い化合物である。これまで報告されたステロイドの化学合成法は、複数の環骨格を段階的に構築する手法がほとんどで、より効率的な合成ルートの開発が望まれている。応募者は、生合成経路を活用した多環式骨格の構築により、供給が切望されている生物活性化合物を効率的に合成しようと考えた。具体的には、容易に調製可能なセグメントを順次連結させて環化前駆体を合成し、ドミノ環化を鍵反応としてステロイド類の四環性骨格を一挙に構築することとした。本研究が遂行されれば、望む位置に官能基を導入したステロイド類を簡便に合成することが可能になると期待される。四環性骨格の一挙構築に先立ち、三環性骨格を有するモデル化合物で環化条件の最適化を検討した。 三環性モデル化合物の合成において、環化前駆体の調製およびドミノ環化を前年度に報告しているが、収率・効率ともに満足のいくものではなかった。本年度は、試薬・溶媒・温度等、種々の反応条件を検討し、より効率的に環化前駆体を調製可能にした。さらに、ドミノ環化で得られた三環性化合物の脱メトキシカルボニル化と続く塩化水素の脱離を同一反応容器内で行い、ステロイドのABC環部に相当するエノンの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鍵反応であるドミノ環化の環化前駆体を収束的に合成し、ステロイドのABC環部に相当するエノンの合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見をもとに、次年度は四環性骨格のドミノ環化に挑戦する。具体的には、環化前駆体の効率的調製法の開発およびドミノ環化の反応条件を最適化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費を節約し、有効に使用するため。 研究計画をより推進させる器具および試薬を購入する。
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