2015 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドホルモン前駆体蛋白質を標的とした分子進化と生理活性成熟化機構の解明
Project/Area Number |
24510310
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
日高 雄二 近畿大学, 理工学部, 教授 (70212165)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フォールディング / 分子内シャペロン / ペプチドホルモン / ジスルフィド結合 / 前駆体 / ウログアニリン / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに、ペプチドホルモン前駆体のX線結晶構造解析および部位特異的変異体の立体構造形成反応の詳細な分析から、ペプチドホルモン前駆体蛋白質の立体構造形成が、成熟体であるペプチドホルモンの局部的な生理活性部位の立体構造の安定化と直接関係することを明らかにした。これは、分子進化にとって重要な意味を持つ。そこで、本申請課題は、分子進化において、ペプチドホルモンの生理活性構造が如何に保たれ、高い活性を獲得したのかを明らかにすることを目的として研究を行った。 平成26年度までに、分子進化促進因子に関する立体構造情報および分子進化抑制因子に関する制御機構について検討を行ってきた。進化促進因子については、立体構造解析が予定通り進行し、その解析についてほぼ終了することができた。進化抑制因子に関しては、一時構造上の相関を明らかにし、その存在を証明することができたが、立体構造解析について、生理活性との関連から今後さらなる検討が必要である。 以上の検討課題を遂行する過程で、下記のように、本研究で更なる重要な発見をすることができた。すなわち、分子進化と抑制因子の複合系である品質管理機構の存在である。我々は、ペプチドホルモン前駆体の立体構造形成機構に、生理活性を発現するための品質管理機構が備わっていることを提唱するにいたった。これは、分子進化の過程で、ペプチドホルモンの生理活性がいかに保たれ、効率を上昇させてきたのかを説明できる現象と考えられる。またそのスイッチは、ペプチドホルモン前駆体中のプロ領域と成熟体領域とのつなぎ目に存在し、2次構造変化により、スイッチのオンとオフが制御されている。 今後、本科学研究費により得られた成果をさらに発展させ、世界をリードする新たな分野の開発、人類に有用な生理活性ペプチドの創作を引き続き行っていく予定である。
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