2013 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖シルセスキオキサン型プローブを用いる抗糖鎖抗体スクリーニングシステムの開発
Project/Area Number |
24510318
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
水野 真盛 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (40271506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 雅也 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (20321672)
川上 宏子 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (40320254)
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Keywords | バイオプローブ / 糖鎖 / フルオラス / 抗糖鎖抗体 / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は、糖鎖シルセスキオキサン型プローブを用いるハイスループットな抗糖鎖抗体スクリーニングシステムの構築である。本プローブは抗原部位の糖鎖と、クラスター化のコア部位となるシルセスキオキサン(以下POSS)、固定化部位のフルオラス基の3つの部位から成る有機・無機ハイブリッド型プローブである。特に抗原部位の糖鎖以外はバイオイナートなシルセスキオキサンとフルオラス基であることから抗原性を有さず、また非特異的な吸着が抑制できる。さらにプローブ中で糖鎖をクラスター化するため十分な強度の結合定数を有するようになるため、ファージディスプレイ法と組み合わせることで選択性の高い抗糖鎖抗体の迅速スクリーニングが可能となる。 25年度は①:フルオラスタグ部位、及び糖鎖部位の再設計と合成、②フルオラスタグ含有糖鎖POSSプローブの合成、を行った。 まず①については昨年度合成したフルオラスタグ部位と糖鎖部位のPOSSブロックへの導入について検討を行ったが、フルオラスタグ部位の導入が困難であることが分かった。更に糖鎖部位もチオールリンカー導入効率が低く再現性に問題があることが明らかとなった。そこでフルオラスタグ部位と糖鎖部位の分子構造を再検討し、それぞれのリンカー部分の構造を変えた新たなユニットの合成を行った。その結果、新たに合成したフルオラスタグ部位がPOSSブロックへHuisgen反応により効率的に導入できることが明らかとなった。更に糖鎖部位の合成収率も改善された。 次に②についてはPOSSブロックに対して、新たに合成した糖鎖部位をチオールのラジカル付加により導入する検討を行った。その結果、糖鎖部位の導入が確認されフルオラスタグ含有糖鎖POSSプローブの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
25年度の計画は①フルオラスタグ含有糖鎖POSSプローブ、及び②フルオラス相互作用による糖鎖POSSプローブの固定化、③GM3型糖鎖部位の合成である。 ①では昨年度に合成したPEGスペーサー含有フルオラスタグユニットのPOSSブロックへの導入について種々検討したが、導入がほとんど進行しないことが明らかとなった。そこでスペーサー部分をPEG鎖からアルキル鎖へと変えたフルオラスユニットを合成し、POSSブロックへの導入を行ったところ、高収率で目的とするフルオラスタグ含有POSSユニットを得ることに成功した。次に得られたフルオラスタグ含有POSSユニットに対して、昨年度に合成したアミド型チオールリンカー含有ラクトースユニットの導入を検討したが、導入効率が低いことが明らかとなった。更に本ユニットは合成収率が低く、供給に多大な労力と時間がかかることが予想された。そこで新たな糖鎖ユニット構造としてPEGチオールリンカー含有ラクトースユニットの合成を行った。チオール基の導入を昨年度のチオラクトンを用いる手法からチオ酢酸カリウムを用いる手法に変えたことで収率良くPEGチオールリンカー含有ラクトースユニットを合成することに成功した。次に、得られたラクトースユニットのフルオラスタグ含有POSSユニットへの導入の検討を行った。その結果、フルオラスタグ含有POSSユニット上にラクトースユニットの導入が進行したことが確認された。現在POSSユニットに導入されたラクトースユニット含量の確認を行っている。 このように達成度が遅れている理由としては、計画①において新たな構造の糖鎖POSSプローブの合成を行ったためである。従って本年度の計画②の糖鎖POSSプローブの固定化については未着手である。 ③については、研究期間の関係上これまでに合成したラクトースユニットでの条件検討に研究対象を集中させるため断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は①糖鎖POSSプローブの供給、②フルオラス相互作用による糖鎖POSSプローブの固定化、③糖鎖POSSプローブ固定化デバイスの機能評価とファージディスプレイ法による抗糖鎖抗体スクリーニングシステムの構築を行う。 ①については25年度に合成ルートを確立した糖鎖POSSプローブを数百mg程度合成し、計画②と③で使用するために供給する。 ②についてはPTFE製プレートに①で合成した糖鎖POSSプローブをフルオラス相互作用で固定化する。本研究では固定化の溶媒、濃度、洗浄溶媒の種類について検討を行い、プローブの固定化量を測定する。固定化量の測定には酵素標識あるいは蛍光標識レクチンなどを用いる。もし、パーフルオロオクチル基では固定化が不十分、あるいは洗浄工程での剥離などの結果が得られた場合はパーフルオロオクチル基を複数本有する糖鎖POSSプローブを合成し、固定化の検討を行う。 ③の機能評価については、(1)固定化基材、及びプローブへの非特異的吸着の検討と、(2)レクチンを用いたタンパク質―糖鎖間相互作用の検討、を行う。(1)ではPTFE製プレートに糖鎖POSSプローブを固定化したデバイスが、既存のポリスチレンプレート等と比較して非特異的吸着に対して優位性があるかどうかの検討を行う。(2)ではレクチンとしてラクトース認識レクチンであるpeanut agglutinin (PNA)のHRP標識体を用い、ELYSA法で相互作用の検討を行う。(1)と(2)より得られた知見を基に、ファージディスプレイ法による抗糖鎖抗体スクリーニングシステムの構築も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に計画していた「糖鎖POSSプローブの固定化」が未着手となったため、固定化の際に使用するPTFEプレートや固定化試薬、レクチン等の試薬類を購入しなかったため次年度使用額が生じた。 26年度は、フルオラス科学、及び糖鎖工学に関する内外の学会に参加し研究成果の発表や研究者との意見交換を行うため、旅費として30万円の支出を予定している。またそれ以外は研究遂行のために試薬類や器具類、論文投稿等の消耗品費としての使用を計画している。本年度は設備備品の購入計画はない。
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Research Products
(6 results)