2013 Fiscal Year Research-status Report
表現型と遺伝子型特性に基づく外来ザリガニの危険度評価手法の開発
Project/Area Number |
24510324
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西川 潮 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (00391136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 逸郎 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50572799)
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Keywords | 遺伝子多型 / 形態多型 / 行動多型 / ウチダザリガニ |
Research Abstract |
特定外来生物シグナルザリガニ(ウチダザリガニ、タンカイザリガニ;Pacifastacus leniusculus)は、捕食や競合、環境改変などを介して淡水生態系の構造や機能に甚大に影響を与える。これまでの申請者らの研究から、日本のシグナルザリガニ侵入集団は原産地の複数地域から運ばれ、遺伝的混合を経た後、少なくとも3つの創始個体群(北海道、長野、滋賀)に分かれたこと、そのうち北海道由来の侵入個体群が次々と国内で分布拡大していることが明らかとなってきた。また、創始集団間のみならず、北海道由来の侵入集団間でも外部形態の差異と遺伝的変異が認められることが明らかになっている。本研究では、シグナルザリガニの表現型と遺伝的多様性の関係を明らかにするため、マイクロサテライトマーカーの開発を行った。共同研究者が以前に作成したマーカーと、昨年度に外部委託により単離されたマイクロサテライト11遺伝子座の条件設定をおこない(multiplex PCR)、15個体群480個体のサンプルを用いて予備解析を行った。遺伝的多様性の程度は個体群により異なったが、対立遺伝子数は5‐15、平均ヘテロ接合度は0.5程度と適度な多型性を示した。また、個体群間の分化を表すFst値は平均0.15であり、外来ザリガニ個体群の比較的強い遺伝的分化が示された。以上から、今回用いたマイクロサテライトマーカーは個体群間および個体群内比較でも有用であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子マーカーの条件設定が順調に進んだため。一方で、予備的な行動実験を行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規遺伝子マーカーの有効性が示されたため、今後、行動解析および形態解析といった個体レベルのデータと突き合わせ、外来種の遺伝的多様性と侵略性の関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は予備的な行動実験を行うことができなかったため。 繰越費用を用いてシグナルザリガニの行動実験を行う。
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