2014 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝解析と生態特性把握による雑種タンポポの起源地と拡大経路の推定
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24510330
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 明 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40274344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 大輔 三重大学, 教育学部, 准教授 (00448755)
松山 周平 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 博士研究員 (30570048)
名波 哲 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70326247)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移入種 / 在来種保全 / 雑種化 / タンポポ / 遺伝子汚染 / 葉緑体DNA / ハプロタイプネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.在来二倍体タンポポ葉緑体ハプロタイプの地理的変異:在来体二倍種であるセイヨウタンポポ、カントウタンポポ、トウカイタンポポ、シナノタンポポ、計180個体の葉緑体DNA8遺伝子間領域の塩基配列を決定し、ハプロタイプネットワークを作成した。見つかった40ハプロタイプを7グループに分類したところ、滋賀、三重、愛知付近を境界に西側に分布するもの(1グループ)と東側の分布するもの(3グループ)、全体に広く分布するもの(2グループ)があった。これらの結果から、東日本と西日本に限定的に分布するハプロタイプを用いるれば、雑種の起源地をある程度推測できることが明らかになった。一方で、形態的に異なる個体にも同じハプロタイプを持つものが存在したことから、過去の交配と移動が複雑であることも示唆された。 2.雑種タンポポの起源の推定:あらたに開発した遺伝マーカーと塩基配列分析を併用して、四倍体雑種の多くに見つかったが、在来二倍体から見つからなかった葉緑体ハプロタイプを探索したが、このハプロタイプを持つ在来種個体は見つからなかった。四倍体雑種の起源については、二倍体以外の在来種、国外の種を含めて更に詳しく検討する必要がある。 3.マイクロサテライト解析:在来二倍体種12集団の核遺伝子の遺伝的地理構造をSSR5遺伝子座のデータに基づいてベイズクラスタリング法(STRUCTURE)で解析した。その結果、核遺伝子は地域間である程度分化しており、地理的関係は頭花形態の地域分化と類似していることがわかった。 4.雑種タンポポの生態特性の多様性:雑種クローンの成長特性をインキュベータによる栽培実験で検証する実験方法を確立した。実験結果から、各クローンの成長特性がそのクローンの持つ葉緑体DNAのハプロタイプ(雑種の母親となった在来二倍体種の違い)と関係している可能性が示唆された。
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