2012 Fiscal Year Research-status Report
シルビアシジミの個体群存続に及ぼす共生細菌と近縁種の影響に関する研究
Project/Area Number |
24510331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (70305655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢後 勝也 東京大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70571230)
石井 実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (80176148)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シルビアシジミ / Wolbachia / ヒメシルビアシジミ / 交配実験 / 温度・日長反応 / 寄主植物 / DNA / 繁殖干渉 |
Research Abstract |
今年度は、ヒメシルビアシジミの分布と生活史および韓国におけるシルビアシジミの分布と遺伝的な解析およびボルバキアの感染を中心に調査研究を行った。 ヒメシルビアシジミについては、5月と7月に沖縄県西表島と石垣島で分布調査および採集を行い、得られた雌成虫から採卵して様々な温度・日長条件下で飼育を行った。その結果、本種はシルビアシジミの主要な寄主植物であるミヤコグサでは発育できないことや、幼虫期に明確な休眠性を持たないことなどが明らかになった。シルビアシジミとの交配実験では、2組の雌雄(シルビアシジミ雌とヒメシルビアシジミ雄)で交配が成功し、得られた幼虫の飼育を行った。その結果、雄は正常に羽化したものの雌と考えられる個体は発育が遅延し、羽化に至らなかった。羽化した雄の翅の斑紋は部分的に両種の特徴がみられ、中間的であった。このことから、両種の間に繁殖干渉が生じる可能性が示唆された。 韓国では、東海岸沿いに約10か所の生息地を確認し、いずれの場所においてもシロツメクサ、ミヤコグサ、マルバヤハズソウ、ヤハズソウなど数種のマメ科植物に産卵することが確認された。韓国で採集したシルビアシジミについては、許可を得て持ち帰り(農林水産省指令24第489号)、飼育および遺伝的な解析を行った。その結果、採卵する雌成虫によって孵化率が異なり、50%以下の場合もあった。遺伝子解析によりボルバキアの感染を調査したところ、いずれの個体も大阪個体群とは異なる系統のボルバキア感染が確認された。また、大阪個体群にみられるような雌のみが羽化するいわゆる「雄殺し」の現象は見られなかった。ミトコンドリアDNAの解析では韓国は日本各地でみられなかった固有のハプロタイプのみが確認された。 得られた成果の一部は、ICE2013国際昆虫学会議、日本昆虫学会大会、日本鱗翅学会大会などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度目的としていた、韓国での調査で多くの地点で生息を確認し、寄主植物についても明らかにすることができた。ヒメシルビアシジミについても、飼育実験を行い、生活史形質を明らかにできたうえ、シルビアシジミと交配を行って、次世代の発育を観察することができた。遺伝子解析では、韓国産の個体について、ミトコンドリアハプロタイプやボルバキア感染を明らかにできた。結果の一部を複数の学会で講演するなど、研究はほぼ当初の予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒメシルビアシジミについては、今年度は沖縄県西表島・石垣島産を用いたが、よりシルビアシジミの分布域に近い鹿児島県屋久島などの離島での調査を試みる。引き続き韓国の個体群の調査を行い、データを充実させる。さらに、千葉県の個体群についても調査を行う。得られたデータを解析するとともに、DNA解析についても個体数を増やしてデータを充実させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Revision of the Euthalia phemius complex (Lepidoptera: Nymphalidae) based on morphology and molecular analyses.2012
Author(s)
Yago, M., Yokochi, T., Kondo, M., Yahya, B., Peggie, D., Wang, M., Williams, M., Morita, S. and Ueshima, R.
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Journal Title
Zoological Journal of the Linnean Society
Volume: 164
Pages: 304-327
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular phylogeny, laboratory rearing, and karyotype of Trilocha varians (Lepidoptera: Bombycidae: Bombycinae)2012
Author(s)
Daimon, T., Yago, M., Hsu, Y.-F., Fujii, T., Nakajima, Y., Kokusho, R., Abe, H., Katsuma, S. and Shimada, T.
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Journal Title
Journal of Insect Science
Volume: 12 (49)
Pages: 1-17
Peer Reviewed
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[Journal Article] Timing of butterfly parasitization of a plant–ant–scale symbiosis2012
Author(s)
Ueda, S., Okubo, T., Itioka, T., Shimizu, K., Yago, M., Inui, Y. and Itino, T.
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Journal Title
Ecological Research
Volume: 27
Pages: 437-443
Peer Reviewed
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[Journal Article] Phylogeography of Fishcher's blue, Tongeia fischeri, in Japan: Evidence for introgressive hybridization2012
Author(s)
Jeratthitikul, E., Hara, T., Yago, M., Itoh, T., Wang, M., Usami, S. and Hikida, T.
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Journal Title
Molecular Phylogenetics and Evolution
Volume: 66
Pages: 316-326
Peer Reviewed
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