2012 Fiscal Year Research-status Report
どのように市場を統治するか:インドネシア、タイ、フィリピンの事例研究
Project/Area Number |
24510339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
美甘 信吾 信州大学, 経済学部, 准教授 (90377614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 東南アジア / 政治経済 / 経済ガバナンス / 政治制度 / 政治学方法論 / ビジネスと政治 / 国際政治 |
Research Abstract |
市場を機能させ安定的な経済成長を導く経済ガバナンスの制度的特徴は何か。本研究では、インドネシア・タイ・フィリピンを中心とする東南アジア諸国の事例を分析し、政治制度と経済ガバナンスの関連性の解明を試みる。経済成長と経済・金融危機という大きな経済変動を経験し、民主的な政治体制を模索する中で経済ガバナンスの課題に直面した東南アジア諸国の経験から得られる教訓は何か。国や地域の歴史社会・政治経済制度の文脈を重視し、現地調査により情報を収集し分析する地域研究のアプローチから探究し知見を得るために、今年度は、①既存研究のレビュー、②現地調査による情報収集・分析、③研究成果の報告・論文の刊行・刊行論文の草稿準備を行った。 ①既存研究のレビュー:既存研究のレビューは、政治経済的な変化が大きいアジア諸国やラテンアメリカ等の他の新興国の事例も対象とする。文献レビューは継続的に行っているが、特に経済ガバナンスと公式・非公式な政治制度に関する既存研究の成果と課題を明確化することを念頭に行った。また、経済問題としても考察される経済ガバナンスの問題について、政治学がどのような貢献が可能かという問題意識も重視した。②現地調査による情報収集・分析:タイ(バンコク)での現地調査を夏期に約2週間(8月17日~9月1日)行った。現地調査では、現地での出版物・報告書・論文などの収集、中央銀行職員や銀行協会幹部への聞き取り調査、タイの研究者との情報交換を行った。春期にはフィリピン(マニラ)での現地調査を約1週間(3月22日~29日)行った。現地調査では、現地での出版物・報告書・論文などの収集、銀行業界の実務家とのインタビュー調査を中心に行った。③研究成果の報告:学会発表と雑誌論文については「研究発表(平成24年度の研究成果)」参照。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経済ガバナンスと政治制度に関する研究は継続的な課題でありが、新興国の既存研究は近年英語での出版物も増えている。対象となる研究は多いが、レビューを進め近年の研究動向と課題の明確化を進めた。特にタイやインドネシアに関しては、アジア通貨危機とその後の政策的な対応について研究は蓄積されているが、政治過程を分析し、民主的なガバナンスのあり方に焦点をあてた研究は、まだ少なく本研究の意義が再確認できた。他の業務との関係上、インドネシアでの現地調査は行なえなかったが、タイとフィリピンで現地調査を行い現地出版物の収集やインタビュー調査を行い一定の成果を得た。特にタイでは、初めて現地調査だったが、資料収集場所や方法についても知ることができ、現地研究者とも有意義な意見交換を行なえた。
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Strategy for Future Research Activity |
政治制度と経済ガバナンスに関する研究とタイ・インドネシア・フィリピン政治経済研究のレビューは継続的に行なう。現地調査による情報収集と分析、現地研究者との交流を継続する。学会(研究会)発表と論文刊行(準備)を継続的に行なう。通貨金融危機とその政策的な対応を分析し、民主的な政治制度と経済ガバナンスに関して、タイ・インドネシア・フィリピンの経験からどのような教訓と知見が得られるのか、明確化していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内及び海外旅費(600,000円)、研究者招聘費(200,000円)、書籍などの物品費(200,000円)を予定している。海外現地調査はインドネシアとタイを中心に行なう。フィリピン政治とガバナンスに関しては、2014年2月に京都で行なわれるフィリピン研究国際学会においてパネルを組織する予定である。ハワイ大学とフィリピン大学の専門家を招聘し、意見交換を行なう予定である。国内旅費に関して、日程を1日短縮したため、次年度使用額(9735円)が発生した。
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