2015 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における「早期留学」に関する研究―教育のグローバル化と韓国社会の変容―
Project/Area Number |
24510344
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
小林 和美 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90273804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会学 / 韓国 / 教育 / グローバル化 / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育を目的とした国際人口移動である「早期留学」の研究を通して、韓国社会における教育のグローバル化の進展過程と韓国社会の変化をとらえようとするものである。最終年度である本年度は、1990年以降の早期留学の変遷についての総合的分析および国内外の専門研究者との意見交換を行った。 1 1990年以降の早期留学の変遷についての総合的分析 これまでの3年間の研究成果を統合し、1990年代から現在までの約20年間について、早期留学をめぐる政治・経済・社会的条件の変化と早期留学生の増減への韓国社会の対応を整理し、総合的分析を行った。その結果、①富裕層の子どもたちの「逃避性留学」を中心とした留学ブームが起こった初期(~1999年)、②経済のグローバル化が進むなか早期留学が中間層および初等学生に広がり家族問題を引き起こした激増期(2000~2006年)、③留学の効果に対する厳しい見方が広がり早期留学に代わる方法が注目され計画的戦略的留学がみられるようになった減少期(2007年~)という変遷を辿ったことが明らかになった。 2 国内外の専門研究者との意見交換 <国境をまたぐ家族>広域調査法検討学術集会(2015年6月27日、東洋大学)において「韓国の『早期留学』研究を通じてみた<国境をまたぐ家族>」と題する研究発表を行った。また、現代韓国朝鮮学会第16回研究大会(2015年11月18日、神田外語大学)において「1990年代以降の韓国における「早期留学」の変遷」と題する研究発表を行った。発表に先立ち、韓国の専門研究者とも、発表内容についての詳しい意見交換を行った。 4年間の研究期間を通して、「早期留学」が子どもたちの人生設計における選択肢として現れる政治・経済・社会的条件と早期留学生の増減への韓国社会の対応を、個々の留学生が辿ったライフコースの事例と照らし合わせながら明らかにすることができた。
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