2016 Fiscal Year Research-status Report
タイ華人宗教世界の解明―祭祀・祭礼の実態調査を通じて―
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24510345
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 友美 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40337746)
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Project Period (FY) |
2014-02-01 – 2018-03-31
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Keywords | タイ / 華僑華人 / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、通年にわたって、タイで出版された華字紙にみられるタイ華僑・華人による宗教実践形態とそれらに関する識者の議論についての資料読み込みに当たった。また、2回の海外調査を実施し、その成果をもとに、研究課題についての理解を深めた。 まず、2016年9月19日~26日にかけて、多数の中国系タイ人の故地に当たる中国南部沿海地域の広州・汕頭・厦門・泉州を訪ねた。特にタイ方面への華僑の送り出し港であった汕頭では、現代の中国系タイ人の信仰を集める中国宗教の古廟について調査するとともに、現地通訳を通じて、中国国内の廟に対する中国系タイ人からの支援や、中国系タイ人の間で盛んにおこなわれる祭礼等の現代中国宗教実践形態等に関する聞き取り調査を行った。また、華僑研究・東南アジア研究で知られる曁南大学、厦門大学、華僑博物館等を訪問して、図書館での資料収集、中国人研究者・大学院生との交流を通じて、多数の東南アジア方面への移民を送り出した地域の歴史・地形・環境と同地で展開した宗教運動等に関する中国語研究の所在について情報収集を行った。 次に、2017年2月22日~3月2日にかけて、タイに渡航し、バンコクの華人街における斎堂、念仏社にて、それぞれの来歴や現在の宗教活動等についてのインタヴュー調査を実施した。また、インフォーマントの一人から、バンコクの斎堂における女性斎食実践者やバンコクの中国系宗教団体、大乗仏教団体等に関する貴重なインフォーマントおよび写真・雑誌等の資料の所在についての情報提供を受け、さらなる調査・研究の深化につながる貴重な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭の事情による。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに得られた得られた知見および新たな情報へのアクセスの可能性を生かし、平成29年度には、バンコクの斎堂・仏教団体でのインタヴュー調査を拡充するとともに、大乗仏教団体図書室所蔵の仏教雑誌を系統的に閲覧し、聞き取り・文献双方の情報を総合することにより、外部にはほとんど存在程度にしか知られていない華僑・華人の宗教コミュニティの歴史と横断的つながりの内実を解明したい。
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Causes of Carryover |
出産前に構想した当初の計画に即して、頻繁にタイに渡航してフィールド調査を実施することが、出産後には現実的に不可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には、一定期間の海外フィールド調査を実施することが不可能ではなくなると考えられるので、インフォーマントの協力をもとに、フィールド調査の実施に充填していく予定である。
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Research Products
(1 results)