2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510346
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西 佳代 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90416058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 泰勝 龍谷大学, 経済学部, 教授 (20349335)
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Keywords | グアム / 基地内外格差 / 軍事環境問題 |
Research Abstract |
平成25年度では、基地への物理的アクセスや、基地内の生活基準を明らかにするデータの入手が困難であることから、今日の基地内外格差を直接考察することは困難であることが判明した。一方で、地球環境学研究所の調査研究「軍事環境問題」や、国際学会である「東アジア環境史研究会(AEAEH)」や「国際平和研究学会(IPPRA)」における国内外の研究者と交流する中で、より広い視点から軍事環境問題に関する知見を得た。具体的には、グアム島の基地内外格差は、海軍によるグアム島の近代的な資源管理システムの破綻の問題として捉える視点を得ることができた。 そこで平成25年度では、海軍によるグアム島の近代的な資源管理システムを明らかにするため、併合当初に遡って、グアム海軍政府の土地資源管理政策を調査した。その結果、海軍知事の絶対的な権限が確立し、島で「基地の内と外」が形成されてゆく過程を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基地内への立ち入りや、軍人関係者との接触が、以前に比べて非常に厳しくなっており、基地内外の生活格差を議論するために必要な資料の収集が困難となっているため。 また、民主党連邦上院議員ジェームズ・ウェッブが1970年にニクソン政権に提出した報告書"Forgotten Americans"入手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、本研究は二つの課題を抱えている。 ひとつは、昨今基地内への立ち入りや、軍人関係者との接触が、以前に比べて非常に厳しくなっており、基地内外の生活格差を議論するための資料収集が非常に困難である点である。こうした状況を打破し、基地内外格差の実態を明らかにするためには、新たなアプローチをとる必要がある。今後は、環境史の手法に依拠しつつ、米軍がグアム島の天然資源を管理した歴史をひもときつつ、考察を行う。今日の基地内外格差は、米軍による天然資源の支配と密接な関係にあるからである。 次に、基地内外格差問題が連邦レベルの人種政治とどのように関連づけられているかに関する議論である。グアム島の基地内外格差問題を連邦レベルで人種政治に結び付けられるようになった経緯を知る有力な手がかりとして位置づけてきたウェッブ上院議員の報告書"Forgotten Americans"の存在そのものが、確認できていない。そこで今後は、ウェッブ議員のみに注目するのではなく、海軍基地建設にあたってスコットランド系アメリカ人が果たした役割を明らかにすることで、ウェッブ議員の主張を裏付ける歴史的情報に関する資・史料を収集する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
"Forgotten Americans"など、在グアム島アメリカ人に関する歴史的資・史料の所在を特定することができず、アメリカ本土にて調査することができなかった。 平成26年度では、在グアム島海軍基地の建設にあたり、スコットランド系アメリカ人が果たした役割を明らかにする資・史料の収集に充当する。具体的には、アメリカ国立公文書館・太平洋地区(所在地:カリフォルニア州)が所蔵する農業関係資料(Record Group 27 (“Records of the Weather Bureau”)、国家科学アカデミー(所在地:ワシントンD.C.) が所蔵する“Biology and Agriculture,1919-1939”を閲覧する。
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Research Products
(3 results)