2012 Fiscal Year Research-status Report
冷戦初期米国の東アジア広報文化外交―「原子力平和利用映画」に焦点を当てて
Project/Area Number |
24510349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 由香 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90263631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原子力平和利用 / アメリカ / USIS映画 / 広報文化外交 / 冷戦 |
Research Abstract |
交付申請書に記した通り7月に名古屋で第一回の研究会を開いた。互いの現在の研究について情報交換を行うとともに今後の研究についての打合せを行った。研究協力者の友次ほか4名が参加した。 8月~10月にかけて米国立公文書館およびミネソタ大学図書館にて史料収集を行った。国務省、USIA、AECおよび関連する個人文書を収集した。11月にはそこまでの成果をとりまとめて2つの研究報告を行った。11月3日、ペンシルヴァニア州ウェスト・チェスター大学で開催されたMid-Atlantic Association of Asian Studies年次大会、および11月15日、ハワイ大学マノア校で開催されたシンポジウムである。研究成果の国際発信という意義のみならず、日米の多様な研究者からフィードバックを得て大きな成果を得た。 12月にはワシントンの米国議会図書館において1954年原子力法にかんする議会記録、また2013年1月にはカンザス州アビリーンのアイゼンハワー図書館でホワイトハウス記録や原子力政策関係者のオーラル・ヒストリーを収集した。これらの成果を論文「アイゼンハワー政権期におけるアメリカ民間企業の原子力発電事業への参入」にまとめ、3月に『原子力と冷戦―日本とアジアの原発導入』(加藤哲郎・井川充雄編、花伝社)の第2章として刊行した。 この間、研究協力者の友次は英国、小林は韓国と日本で史料収集を行った。また土屋は樋口およびオズグッドとそれぞれワシントンDCで打合せを行った。さらに土屋は2013年6月に開催されるアメリカ外交史学会(SHAFR)に向けて海外研究者と一緒にパネルを結んで申請し採択された。また2~3月には、海外の査読誌に投稿する論文の準備を進めた。 このほかミネソタ大学(11月)、ウィリアム&メアリー大学(1月)、メリーランド大学(2月)で招待講演を行い、研究成果の一端を公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1回研究会の開催、ハワイ大学での研究報告、米国立公文書館およびアイゼンハワー大統領図書館での調査と、いずれも交付申請書に記載した通り順調に進んだ。 予定通りに進まなかった部分もあったが(業者を介したリール・フィルムの収集と第2回の研究会開催)、また一方で予定以上に進展した部分や、予定には無かった展開も見られた。例えば論文としての成果公表が予定よりも早く本年度内に実現したこと、また交付申請時には未定であったウェスト・チェスター大学における学会報告、またミネソタ大学、ウィリアム&メアリー大学、メリーランド大学における招待講演、さらに次年度の国際学会報告の申請と採択が挙げられる。また第2回の研究会にかわって、国内外の研究協力者と個別に連絡を取り合い、ワシントンでの研究打合せも行ったため、大きな予定変更は無かったと言って差支えない。 総合的に見て、おおむね予定通りに順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)本年度パネルを申請して採択されたアメリカ外交史学会での研究報告を行う。(2013年6月、米国ヴァージニア州アーリントン) 2)アメリカ学会で研究報告を行う。(2013年6月、東京外国語大学) 3)海外の査読雑誌(Diplomatic History誌)に論文を投稿する。 4)10月に開催される国際政治学会のパネルにコーディネーターとして出席し、その前後に第2回の研究会を開催する。 5)遅れ気味であるUSIS映画(リールフィルム)の収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「研究実績の概要」欄に記入した事項のうち、研究代表者の土屋のアメリカ合衆国での調査および研究報告活動のための旅費と、研究協力者の小林の韓国および東京での調査旅費については、活動自体は2012年度内に完了したが、経理上の手続きが年度内に間に合わなかったために翌年度への繰り越しとなった。(既に支出済み。)
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Research Products
(15 results)