2013 Fiscal Year Research-status Report
経済停滞期における福祉国家の財政再建策:スウェーデンを事例として
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24510350
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
秋朝 礼恵 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (80623454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡澤 憲芙 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60063773)
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Keywords | スウェーデン / 経済停滞期 / 福祉国家 / グローバリゼーション / 行政の効率化 / 社会的包摂 |
Research Abstract |
研究期間2年目となる2013年度には、前年度に引き続き先行研究の渉猟およびデータの収集に努めるとともに、財政再建過程の実際と各種制度(税制、予算制度、情報公開制度等)についてまとめつつ、「痛みの分かち合い」を可能とする政策過程の分析をした。また、分析対象期間はEU加盟を経験し、スウェーデン社会のありようが大きく変容を迫られた時期であった。そこで、いわゆる「スウェーデン・モデル」の変容を考察するにあたり、最近の事情を把握しておく必要があるため、現地調査を実施した。これにより、たとえば、次のような状況が課題として浮かび上がっている。 地方自治体では、財政が厳しくなるにつれ、効率的経営・運営が強調される傾向がますます強くなっている。高齢者センターの宿泊施設が半分以下に縮小されて、在宅ケアに変更されている。難民孤児を受け入れた自治体には中央政府から豊かな補助金が提供されるので、高齢者センターを難民孤児受入れセンターに切り替えている。難民受け入れに関心がある自治体ではないのに、経営優先で受け入れているが、在宅に回された高齢者の心配や不都合はそれほど考慮されないのではないか。弱い立場の人、つまり不平を漏らさない人が犠牲になる。在宅ケアといえば聞こえは良いが、社会的コンタクトがなくなり、知的刺激が少なくなる。社会的孤立を恐れる。少なくとも孤立感が深まるのを恐れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析モデルの構築に、当初想定していたよりも時間がかかっている。この点で、上記のとおり「やや遅れている」と自己点検した。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者との連携については順調である。 しかし、上記に述べたように、当初予定よりも時間がかかっている状況にある。そこで、助成金を受けた研究期間の最終年度となる2014年度中に、当初計画どおりの成果を発表できるよう努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が現地調査を実施する代わりに、先方研究等のデータ収集に努めたこと、また、共同研究者の現地調査に係る費用を他の財源により支弁したことから、旅費項目および物品費において、当初計画よりも大きな差額が発生している。 2014年度の夏期に共同研究者が現地に1か月滞在し調査を実施するため、2013年度分の残額はこの旅費に充てることとしている。 また、研究代表者については、研究成果を発表するための経費が相当額に上ると見積もられるため、これに充てることとしている。
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